第74話 脳筋化が止まらない ページ25
『ハンナさん、また怪我してますよ』
私が指差したのは彼女の手の甲に付いた赤い線。
まだケガをして間もなっていないであろうそれは、真っ赤な血がまるで気付いてくれと言わんばかりに光を反射していた。
「あら。ホントだわ…ありがとねAちゃん！」
『いえいえ…気をつけてください。』
言える立場じゃないけど。
心の中で嘲笑したニートな私は貰った夕食に目を移した。
…あれ。
『ハンナさん。』
「ん？どうしたの？」
お昼分の食器を持ったハンナさんが私を振り返る。
(食器はシェルターのシンクを借りて自分で洗った)
『この後、予定詰め詰めですか？』
「…？やることはあるわ。でもAちゃんが最優先だから大丈夫！なぁに？」
『あ、いや…何でもないです。』
「遠慮しないで言ってね！」
不思議そうに首を傾げた後、にこりと笑ったハンナさんはコツコツと上品な靴音を立てて帰っていった。
ばたん、と扉が閉まる。
『んー…』
湯気を立てる料理を見て無意識に頬に手を置く。
『コックの人、大丈夫かな』
最近、例の定点カメラを見つめていると、小さいながらも怪我をしている人をよく見かける。
つい、画質が鮮明すぎて細かいところまで見てしまうのだ。
私が尊敬したこと。それは、ここで働く人達は怪我しても仕事熱心すぎて気付かないこと。
それほどまでに、一生懸命らしい。
だからこそ心配だった。
火も刃物も扱う料理人の人達が怪我していないだろうか、なんて、余計な世話を。
実際、ハンナさんもここで働く人達も、指摘するまでずっと気付かない。
平和ボケした私にはわからないけど、やっぱり国が掛かってるとそれくらい必死なんだなぁ。
『ちょっとくらい、ね』
自分の流血怪我にも気付かないんだから、こんな影の薄い奴出てもバレないのでは？なんて考えた愚かな私は居ても立っても居られなくなり、重い扉に手を掛けた。
どうしてなのかいつも過度に慎重になってしまうのに、ここに来てからというもの何故か後先顧みない行動をするようになってきた。
いつか後悔する前にやめないとなぁ、脳筋は。
第75話 嫌な予感ってやつ→←第73話 5つのモニターと地獄の暇
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弦(プロフ) - 人外人間白乃雫さん» コメントありがとうございます！御本人様自身もよく言われてらっしゃいますよね…！ (4月16日 23時) (
レス) id: c2360e86b7 (このIDを非表示/違反報告)
人外人間白乃雫(プロフ) - 98話のrbrさんのセリフの「はぁい。rbrですぅ〜」が脳内再生ゲロ余裕で笑った(言葉使い()) (4月16日 6時) (レス) @page49 id: 4a8cb482e0 (このIDを非表示/違反報告)
弦(プロフ) - ピット☆さん» コメントありがとうございます！え、そうなんですか…！？知りませんでした、教えていただきありがとうございます！確かに青い鳥荒れてましたね…少しの間鍵をつけようかと思います…！ご報告、本当にありがとうございました！！ (2022年3月24日 15時) (レス) id: 3066eb4d27 (このIDを非表示/違反報告)
ピット☆(プロフ) - コメント失礼しますっ！この作品と作者様がとても大好きです！大好きだからこそ鍵付いて読めなくなったら辛いですが伝えさせて頂きます…！最近青い鳥にてnmmnの晒し・荒らしがあるとの事なので落ち着くまで鍵を付ける方がいいかも知れません…、お気を付けて下さい！ (2022年3月22日 12時) (レス) @page21 id: 9c7661f737 (このIDを非表示/違反報告)
弦(プロフ) - るきあさん» コメントありがとうございます！！喜んでいただけただけで私は満足一本でございます…！ちょっと今の所ﾛﾛﾛさんが多くなってしまっていますが、段々他メンバーさん距離を縮めるつもりです！(餌付け組がわからない無知な作者ですみません…) (2022年3月18日 11時) (レス) id: c2360e86b7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：弦 | 作成日時：2021年12月10日 8時
