38.同じ顛末をもう一度 ページ5
「っあ〜〜〜やってらんねーぜーー!!」
空を仰ぎ見ながら声を上げる。周りからちらちらと視線が向いたが気にしない。
理鶯さんのご飯をご馳走になった三日後の今日。仕事の都合で私はシンジュクの街に来ていた。
結局この前は、左馬刻さんと入間さんのせいで理鶯さんが追加で作ってくれた二品を食べれなかった。どうして全部食べるのか。なんだって私の分を残してくれなかったんだ。泣くぞ。
でも、なんで美味しいもの食べたっていうのに青い顔してたんだろうかあの二人。やっぱり謎である。
帰り着いたのは夜の10時前だった。左馬刻さんが車を走らせて家まで送ってくれたのだ。いやもうほんといい人すぎる。なんでヤクザなんかやってんだあの人。わからん。
「えぇっと……新しい画像の追加に、項目の追加……それと動画も入れるって言ってたな。……どーう考えても面倒くさいの一言しか出てこない。最悪か……?」
さっきクライアントから聞いた注文を反芻する。新商品を出すからそれの画像を貼っつけて、動画も加えて、項目追加……。家に帰ってからの作業量が半端ない。しばらくは家にこもりきりですなこりゃ。
ため息混じりにふらふらと街を歩いていると、ふと視界に可愛らしい看板が映って足を止めた。
確かあそこはこの前テレビで取材を受けてたケーキ屋だ。ザッハトルテとミルクレープが美味しいんだっけ。芸人さんと最近話題の女優さんが美味しそうに食べていたけど、私はショーケースに仕舞われた鮮やかなタルトに目が行ったっけなぁ。
あのケーキ、三兄弟に買って行ったら喜んでくれるのかな。
「……あー、ま〜た三兄弟に思考が行ってしまった。ったく、しばらくは行かないって二郎に言ったばっかだっていうのに」
ぶんぶんと頭を振って考えていたことを飛ばす。
けれど。さて帰らねば、と足を進めるも、頭の中はあの三人の顔がチラついてどうにも仕事のことに集中できない。
ケーキ、今度皆で食べようねって言ったんだよね。私がタルトが食べたいって言ったら、一郎が呆れ顔で「あの二つじゃねーのかよ」なんて返してきて。
考えれば考える程思考がそっちに持って行かれる。足をぴたりと止めて、しばらくその場で立ち尽くして。ぐぬぬぬぬ、と頭を悩ませ、ついに私はケーキ屋へと足を向けた。
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ユズヒ(プロフ) - 月華姫さん» お久しぶりです!お元気にしていましたか?また読んでくださったんですね!ありがとうございます!!先程ちょこっと更新しましたので、本当に少しなんですけど、ぜひお読み頂ければ嬉しいです…! (2021年9月6日 23時) (レス) id: 717d8ad01f (このIDを非表示/違反報告)
ユズヒ(プロフ) - ニケさん» コメントありがとうございますお返事大変遅くなってしまいすみません!!!一年!?前!!??本当に申し訳ないです…。気力が絶賛お亡くなりで続きを全く更新していなかったのですが、先程ちょこっと更新してきましたので、ぜひお読み頂ければと思います…! (2021年9月6日 23時) (レス) id: 717d8ad01f (このIDを非表示/違反報告)
月華姫 - お久しぶりです!久しぶりに1話から全部読みましたが世界観に、また引き込まれました!!此れからも応援しています(`・ω・´)bではまたっ♪ (2021年9月6日 16時) (レス) id: 8f77e3b2d4 (このIDを非表示/違反報告)
ニケ(プロフ) - 凄い面白いです!最後感動しました!私も何回か読み返しました!コメント遅くなってすみません。あつかましいですが、是非続きが読みたいです!応援しています! (2020年4月27日 20時) (レス) id: e4acd479d7 (このIDを非表示/違反報告)
ユズヒ(プロフ) - sioさん» コメントありがとうございます!!ひえええ読み返していただけてるとは本当に嬉しい限りです……! 最近更新できてなくてすみません…! もう少しで!更新できるかと思いますので……!! (2019年12月1日 13時) (レス) id: 717d8ad01f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ユズヒ | 作者ホームページ:
作成日時:2019年3月27日 5時