【ヒプノシスマイク】大人びた幼馴染 Last Album

♪ ページ23

しっとりと濡れた髪に、赤く染まった頰(というか顔)、羞恥かなんかで潤んだ目に、パーカーから覗く白い肌と薄ピンクの生地に白いレースを纏った上下セットの下着。そのトドメには上ずった声ときた。
据え膳、とか割と胸あるんだなこいつとか脳の片隅を過ぎったがそれをなんとか振り払って言葉を紡ぐ。


「な、にやってんだよ」

「これは、あのっ、違く、て！ そのあの、服を！ 忘れてしまって！ ですね！？ 着てた服も、せん、洗濯、しちゃって！ それで、その、ちょうど一郎のパーカーがあったからっお借りしようかなっ、と、思い、まして……」


後半に行くにつれてだんだん声量が落ちていく。終いには真っ赤な顔を俯かせて両手でパーカーの裾を握って「ごめん……」と弱々しく呟いた。そういう反応は本当にやめてほしい。


「ぁの、一郎……その……この期に及んで大変申し訳ないんだけど、さぁ……私の服、持ってきてほしいん、だよ、ね……。リビングにほたってるはずだから……」

「…………ちょっと待ってろ」


言って、その場から離れる。ばくばくとうるさく鳴る心臓の音を隠すかのように廊下をどすどすと音を立てて歩く。リビングに着いて、あいつの着替えを引っ掴んでそのまま停止。ショート寸前の脳をすんでのところで引き止めていたおかげでたった今それがぶり返したようだ。

いやもう本当、ゲームとかの展開やスチルならテンションが上がるけど、これは……現実は駄目だ。
あれはゲームだからいいのであって、現実でやられるとちょっと……クるものがある。


「っ……くっそ……」


呟いた言葉はきっと誰にも聞こえていないだろう。というかそうであることを願う。
二郎の「に、兄ちゃん……？ どうしたの……？」の声には「なんでもねぇ」と答えておいた。


ーーー


月華姫様から頂いた複数のリクエストの中から「お風呂上がりに不可抗力で彼シャツ(パーカー)した夢主と一郎」を抜粋しました！
いや楽しかった。とても楽しかったですはい。一郎描写を書くのが本当に楽しくて、ついつい筆が乗り過ぎてしまいました……。
リクエストありがとうございました！！

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