【ヒプノシスマイク】大人びた幼馴染 Last Album

☆ 彼パーカー、とは ページ20

「う〜〜〜ん……」


鏡に映る自分と睨めっこ。鏡には下着しか身につけていない私が難しい顔で腕を組んでいた。

結論から言うと、着替えを忘れた。
お風呂に入る前に着ていたものを着ればいいかと思うだろうけど残念。今その服は洗濯機の中で三兄弟の服と一緒にグルグル回っている最中だ。
御察しの通り、ここは山田邸。自分の家だったら下着姿で家の中歩き回っても特に問題はないんだけど一郎達の家だと話が別だ。


さすがに弟達の前で下着姿を晒すわけにはいかない。普通に恥ずかしいし。昔っから彼らのこと知ってて私自身の精神年齢は結構行ってても、そこらへんの羞恥心は捨ててないつもりだ。恥ずかしいもんは恥ずかしい！！


「タオル巻いてく……？ いやいやそれもちょっとどうなの？ なんか、それはそれで恥ずい……」


鏡に映る自分と相談するも、返事を返すのはもちろん私である。なんで来る前に気づかないかなぁ……。携帯もリビングだから連絡すら取れやしねぇじゃん！！？ 着替え持ってきてって直接言うしかないってのがさあ！！
……どうしたもんかぁ……。

ため息混じりに俯いて、頭を悩ませる。ゴウンゴウンと気ままに回る洗濯機の音をBGMに、考えること数分。


「分からん」


解決策なんて浮かばず、問題だけが未だにその場に浮かんだままだった。
だってどうしろってのさ！？ 着るもんが何もないんだぜ！？ どうすれば！！ いいの！！

洗面台に両手を置いて項垂れる。私の馬鹿野郎……。何で下着持ってきて服忘れるの……逆ならまだ分かるけどお！！ ってかなんで途中で気づかないかな！？ 御都合主義！？ っざけんな！！


言葉にならない叫びを頭の中でぐるんぐるん回して大きなため息を吐いた。困ったなぁ……。


「んー……ん？」


ふと視界の隅に映った赤色。それが視界の真ん中に来るように首をひねれば、見慣れたパーカーが洗濯カゴにかけられていた。
……洗濯し忘れ？
そういえば、洗濯機にはもう洗い物が入ってて私の服入れたらスイッチオンする状態になってたから洗濯カゴまで見てなかったな。っていうか洗濯カゴも赤だからちょっと見逃してた。


「……ふぅむ」


パーカーを手に取って広げてみる。うん、これ一郎のパーカーだな！！ なんだろ、洗い忘れとか？ 一郎め体格いいから、必然的にこのパーカーも大きめだ。…………これならもしかして？

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