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空の青にサヨウナラ part3 ページ3
遠い記憶は、今でも脳裏に焼き付いている。
きっとあの日きたサラリーマンは、裏業者とか、そんな類の人間だったんだろう。
あれから20年が経つ。
俺も独立して、今は警察官だ。
母を殺したあいつを、もう恨む気持ちもないけれど。やっぱり一発ぶん殴りたいと思うのはおかしいかな。
「空が、青い…」
鮮やかに広がる真夏の空は、淡くにごって見えた。あの入道雲も、今や灰と白の物体にしか見えない。俺はおかしいのかと一瞬思ったが、そんなの今更すぎるとあっさり受け止めた。
遠くに意識をやると、あちこちでクラクションが聞こえる。
人が車窓から顔を出し、何か叫ぶ。
ああ、そうか。俺は今スクランブル交差点にいたな。
まあ、人の怒声も、この青空も最後の景色としては悪くない。
もう一度、青空を見上げた。
もう一度、青空を見上げた。
変わらないその鮮やかさに、美しさに、目を奪われながら、どうしてだか目尻が熱い。これはきっと夏の炎天下のせいだ。
そう決めつけて、俺の手は腰へと動く。
冷たくかたい感触が、手を這い、全身へと伝わった、とき。
「……あつしぃっ！」
俺の名を呼ぶ声が、遠くから響く。
その声は懐かしくて、何時までも聞いていたかった、俺の大切な人のもので。自然と、涙があふれた。
でも、もう決めたんだ。俺は母さんの元へいくよ。
最後まで、愛してくれてありがとう。
「……っ、待ってえぇぇぇ！」
手に握った拳銃を頭に押し付けて、もう一度想う。
神さま。
一度だけ、こんな俺のわがままを許してください。
もう一度だけ、あなたの顔を……見させて––––。
「朱莉…、愛してた」
パァンッ
パァンッ
––fin––
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結菜 - なかなかポエムっぽくて面白いですね！続き楽しみにしてます！ (2018年1月15日 23時) (
レス) id: b9e33d3fd8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：月森 木詠 | 作成日時：2017年9月27日 17時
