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空の青にサヨウナラ part2 ページ2
その朝、チャイムを鳴らす男が受話器の画面に映った。
ピチッとしたスーツに一色ネクタイのサラリーマンは、我が社の新商品のチラシとサンプルをお渡ししにきましたと、営業スマイルで言った。
もちろん、母は疑う様子もなく扉を開けた。
サラリーマンはカバンから冊子を出し、少々説明させてもらってもよろしいでしょうかと尋ね、承諾を得ると、2、3分ほどの淡々とした紹介をした。
いい商品ですねという母の一言でそれは終わり、冊子とサンプルを受け取ると、サラリーマンは家の前に止めてあった車で次の家へと向かった。
いい商品ですねという母の一言でそれは終わり、冊子とサンプルを受け取ると、サラリーマンは家の前に止めてあった車で次の家へと向かった。
母はそれらをテーブルに置き、灰色のビニール袋のサンプルを開けながら今日の晩御飯は何にしたい、と尋ねた。俺はおもちゃで遊びながらハンバーグと勢いよく答えた。
–––そのとき、パシュッと何かが発射されるような音を聞いた。
ふっと顔を上げ、母を見ると、手にサンプルの包装紙と、意味ありげな四角い白い箱を握ったまま固まっていた。呼びかけても、そのままの姿勢で。様子がおかしかった。
母の顔を覗き込むと、影っていてよく見えなかった。
目をこらすと、そこには––––––
その先は、よく覚えていない。
母の、自分の方にゆっくり伸びる手。身体中に伝わる痛い感覚。時折襲う、飢え。
苦しみと、少しの安らぎと、昼と夜が何度か繰り返されたとき、母は黒ずくめの男たちに引きずられて連れて行かれた。
母を見たのは、それが最後だった。
『…………おかあさん……っ』
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結菜 - なかなかポエムっぽくて面白いですね！続き楽しみにしてます！ (2018年1月15日 23時) (
レス) id: b9e33d3fd8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：月森 木詠 | 作成日時：2017年9月27日 17時
