にじゅうきゅうわ ページ31
「外だ、外だ、外だァー！」
「おいこら、1人で動くな怪我人」
「カタクリコさん、私もう怪我人じゃないんですけどねぇ？この腕はもう治らんのです、いいですか？ダーリン」
「お前、真顔で言うなら真面目に言うかボケるかのどちらかにしろ。温度差がひどい」
「それが私ですダーリン」
ぐっと親指を立てるクレイア。
いつもより顔が輝いているところを見ると、はしゃいでいるのは本当のようだ。
「…おれが付き添うなら、出してやってもよかったな」
「なんか言いやした？カタクリコさん」
「なんでもない。…それでどこに行きたいんだ？」
「カタクリコさんおすすめのスイーツ店でも案内してくだせぇな。私、万国詳しくないんで」
「…迷うなよ」
「大丈夫でさぁ。カタクリコさん持っとけば迷いませんから」
そう言って大きなカタクリの手(というより指)を掴んで横に寄ってくる。
「勝手に離すんじゃないぞ、持つのは構わないが」
「私は子供ですかいカタクリコさん。一応あなたより歳上なんですからねぇ？」
「…そういえばそうか」
「あら、私若く見えてます？ヤダ嬉しいー」
「見た目は老けて見えるから安心しろ」
「ヤダ辛辣…」
「…事実だからな。とりあえず行くぞ。もし気になるところがあるなら言えばいい」
「了解しやした」
……
「(なんかデートみたいですねぇ…まぁ、カタクリコさんは気にしてないみたいですし、私だけ気にするのも腹立つんで気にしないでおきやしょう)」
「…(…行く前にブリュレたちにデートかと言われたから気になってしまうな…。いや、こいつは気にしていないんだ、おれも気にするまい)」
同じことを考えながら、そっぽを向く2人でした。
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