にじゅういちわ ページ23
「…少し目を離した間に一体なぜそんな大怪我を負っているんだクレイアは…。ペロリン」
「妹たちを連れてこなくて正解だったわね。きっと大泣きしてしまうわ」
「…それで、何があったんだ。クラッカー」
ペロスペローとコンポートもクラッカーを見る。
クラッカーは寝台に横たわるクレイアを心配そうに見つめていたが、その一言で兄たちを見る。
少し迷うように俯くも、再びクレイアを見て、ぽつぽつと話し出した。
オーブンとダイフクがクレイアを驚かせようとした結果、思ったより大怪我を負ってしまったと。
2人は本当に驚かせようとしただけだった、と。
「…私たちとクレイアの体では作りがおそらく違うからね、ペロリン。私たちからすれば確かにその程度の割れ目、怪我にもならないが」
「クレイア義姉さんには致命傷ね…」
右腕の脱臼、左足の骨折、重度のむち打ち。複数の打撲、擦過傷。
そして。
『脊椎圧迫による左腕の麻痺…運が悪ければ、腕を切除することになるかもしれません。良くてもしびれが残るかと思われます』
落ちただけ。
言ってしまえばそれまでだが、打ちどころの悪さでクレイアは瀕死の重体に陥ってしまった。
自分たちのように頑丈ではない。受け身が取れない。たったそれだけのことで。
「すまねぇ、兄貴、姉貴…！おれが、ちゃんと危ないって言えてたら……！」
「気にするんじゃない、クラッカー。お前が戻ったおかげで出血多量による死亡は免れたんだ。クレイアはそれだけで喜ぶさ、ペロリン」
「カタクリ、腹はたつと思うけど来るべきときが来たんだ。兄弟だって、話さなきゃ伝わらないこともあるんだよ」
「クラッカー、コンポート。お前達はクレイアについていてくれ。何かあったら言いなさい。私はママに伝えてくる」
「…おれもオーブンたちと話してくる」
「カタクリの兄貴、本当に、兄貴達に悪気はなかったんだ。だから、殺すとかはやめてくれよ…」
「…殺しはしないさ。兄弟だからな」
医務室から出ていったカタクリとペロスペローを見送り、2人は黙ってクレイアを眺めていたのでした。
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