にじゅうわ！ ページ22
クレイアのやつ…いったいどこに行ったんだ。
…まさか、本当にさらわれたのか？
…それはないか。
四皇の城に忍び込むような勇気の持ち主がこの万国にいるとは思えん。
なら、何かトラブルが起こったか…？
こういうとき、未来を見れればと思う。
そうすれば事前に対処ができるのに…。
「カタクリにいさん、カタクリにいさん」
「…スムージーか。どうした」
考え事をしていると、足元に妹スムージーがやって来てズボンの裾を引いてくる。
スムージーはどこか不安そうな顔をしていた。
「今な、クラッカーにいさんがクレイアねえさんを抱っこしてあっちに走っていったんだ。でも、なんだかクレイアねえさん元気がなくて…大丈夫だろうか」
「…あっちだな？スムージー、もしペロス兄やコンポート姉さんたちと会ったら同じように伝えてくれ。クレイアを探していたんだ」
「そうなのか？わかった！」
こくりと頷き、スムージーは反対方向へと走っていった。
おれはスムージーが指さした方向…医務室の方に向かう。
すると、向かうにつれて血の匂いが鼻につく。
嫌な予感がして、おれは足早に進む。
血の匂いはどんどん濃くなっていく。
医務室に到着して、おれは扉に手をかけた。
扉の向こうでは、より濃い血の匂いが漂っていて。
「クレイアの姉貴？！姉貴！」
「クラッカー様、すぐに寝台へ！血が流れすぎています、このままでは命に関わります！」
ぐったりとクラッカーにもたれるクレイアと、真っ青で、今にも泣きそうなクラッカーと大慌てで処置を始める医務官がいた。
ふと、いつか姉が言っていた。
『クレイア義姉さんは強い人ではないわ、カタクリ。きっとうちでいちばん弱い人よ』
その言葉の意味がようやくわかった気がした。
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