68 用心棒 ページ19
猪名寺 乱太郎side
「やっと！ やーっっと！」
「道だ〜」
体中に葉っぱと土をつけながら、私と伏木蔵は生い茂る草木から脱出。
整備された道に安堵の声が漏れた。
私たちが出向いているのはタソガレドキ領。
昨日拠点となる園田村に着いて、今日から用心棒の情報を集め始めた、のだけど。
最も新しい目撃情報が得られた山。
そこに入ってから不運の連続、思い出すだけでも疲れる。
最終的に皆とはぐれてしまった。
「どっちに行こう…」
私たちの前には左右に伸びる道。
左は真っ直ぐ森の中に続き、右は少し先で二手に分かれている。
その先は左と同じく森へと消えていた。
「あ、そうだ。
園田村はこの山の南に位置している。
はぐれた先輩たちと合流できなくても、拠点に戻れば何とかなるかもしれない。
と、懐を探ってみたが。
「……ない」
「乱太郎」
「どっかで落とし…、あ！ 猪に追いかけられたときだ！」
「乱太郎、乱太郎」
「せっかく持って来たのになあ…」
「乱太郎！」
「え、あ、ごめん。なに？」
「見て」
伏木蔵が示す方に、私は目を向けた。
右手の三叉路。その交差点脇に何か立っている。
私たちは顔を見合わせ頷き合う。
側の茂みに入って身を隠してから、交差点がはっきり確認できる位置に移動した。
用心棒は立て看板を携えて旅をしているらしい。
ある時ふと、看板が現れる。
そこには用心棒を引き受けるという言葉が記されていて。
依頼があるなら、立て看板の近くでしばらく待っていればいい、との事だ。
その話を思い起こしつつ、茂みから顔を出せば。
予想通り、立っていたのは木でできた看板。
〈用心棒 承ります〉
と達筆な文字が並んでいる。
「…………あれって」
「うん…」
見つけてしまった。
「ふ、不幸中の幸い？」
私は小声で呟いた。
看板の周りには誰もいないけど、茂みに隠れている以上声を潜める。
「待ってみようか」
「でも、僕たちだけで会ってもどうしようもないよね…」
「うん…。やっぱり先生たちと合流しないと」
そうやって話に集中していたのが、良くなかった。
「……こんな所で何してるんだ？」
唐突に聞こえた声に、ビクッと肩が跳ねる。
伏木蔵とともに恐る恐る振り向けば、視界に飛び込む黒い人影。
それが逆光を受けた男性だと確認する前に、
「「……っっッッ!?」」
叫んだのはお約束。
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kanayamamoto112(プロフ) - 水の術者の67話どのようなお話なのか凄く楽しみです。水の術者主人公君の武器は見つかったのか気になります。 (7月1日 10時) (
レス) id: 763c9aa7d5 (このIDを非表示/違反報告)
kanayamamoto112(プロフ) - 水の術者主人公君と火の術者ヒロインちゃんの合流楽しみです。次は2人のうちどちらが登場するのか楽しみです。 (7月1日 9時) (レス) id: 763c9aa7d5 (このIDを非表示/違反報告)
kanayamamoto112(プロフ) - 待ってました。水の術者主人公君とタソガレドキの押都長烈さんの心理戦楽しみです。続き楽しみです。 (7月1日 1時) (レス) id: 763c9aa7d5 (このIDを非表示/違反報告)
kanayamamoto112(プロフ) - 続き楽しみです。 (6月30日 16時) (レス) id: 763c9aa7d5 (このIDを非表示/違反報告)
kanayamamoto112(プロフ) - 凄く面白いですし展開が楽しみでドキドキしてます。作者さん体調には気をつけてください。 (2023年2月5日 23時) (レス) id: 763c9aa7d5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ノート角 | 作成日時：2019年11月19日 15時
