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「じゃあ、手早くやりますね〜」
「お願いします」
さすがに廊下のど真ん中でやるわけにはいかないので。
人気の少ない縁側に移動し、私はそこで腰を下ろした。
(これこの世界でもするんだ)
切った髪が服に付かないようにする白い布。名前なんだっけ。
スマホ……は無いんだってば、もう。
「動かないで」
ふわっとした声音。
……とは正反対に、手さばきは鋭い風のよう。
鋏がこの速度で頭の近くを動き回ってるって、よく考えたら冷や汗ものでは。
「はい、終わりましたよー」
「へっ」
思わず声を挙げたのも無理はない。
始めてから60も数えて無いような。
(切れてる……)
肩に流れる毛先を見れば、傷んだ部分はどこへやら。
「鏡どうぞ」
「あ、どうも…」
鏡を見てさらに驚愕。
傷んだ毛先が除かれた、だけでなく。
ここ1ヶ月でバラバラに伸びていた髪が梳かれて切られて整えられて。
(シルエット完璧……)
これが体感1分でできるとは。
心なしか髪に艶が増したような。
「神業…」
「ありがとうございます」
斉藤くんて、笑顔があのほんわかした顔文字そっくりだ。
こんな風に笑える人がいるんだなあ。
というか。
「いやそんな、私の方こそありがとうございました」
「どういたしまして〜」
白い布を回収しながら、斉藤くんは言葉を続ける。
「伸びたり、また焦がしちゃったりしたら言ってくださいね」
「え？」
きょとんとして私は斉藤くんを見つめる。
「お手入れしますから」
流れる沈黙。
斉藤くんは変わらずニコニコしているけど。
「……大丈夫ですか？」
「？ 大丈夫ですよ〜」
本当に大丈夫なのか。
ちょっとその危機管理能力を疑う。
初対面で、“天女”とされている私の髪を整えてくれたってだけでも、危なっかしいと思うのに。
さらに次の手入れの話までするって。
きり丸くん、しんべえくん以上に、気を遣ってくれる理由が分からない。
何人かの六年生みたいに、後輩が何らかの切欠になってるのかなあ。
「髪結いって、色んなお客さんとお会いするんですけど」
「……？」
「なんとなーく分かるんですよ、髪に触れると。その人の事」
人を判断する要素は会話や行動だけではないと言うけれど。
こんな所からも知ることができるんだ。
「それに髪を傷んだままにしておく方が、僕にとっては許せないので」
目が真剣。
髪に対して本当に一途なんだなと、私は口許を緩めた。
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kanayamamoto112(プロフ) - 水の術者の67話どのようなお話なのか凄く楽しみです。水の術者主人公君の武器は見つかったのか気になります。 (7月1日 10時) (
レス) id: 763c9aa7d5 (このIDを非表示/違反報告)
kanayamamoto112(プロフ) - 水の術者主人公君と火の術者ヒロインちゃんの合流楽しみです。次は2人のうちどちらが登場するのか楽しみです。 (7月1日 9時) (レス) id: 763c9aa7d5 (このIDを非表示/違反報告)
kanayamamoto112(プロフ) - 待ってました。水の術者主人公君とタソガレドキの押都長烈さんの心理戦楽しみです。続き楽しみです。 (7月1日 1時) (レス) id: 763c9aa7d5 (このIDを非表示/違反報告)
kanayamamoto112(プロフ) - 続き楽しみです。 (6月30日 16時) (レス) id: 763c9aa7d5 (このIDを非表示/違反報告)
kanayamamoto112(プロフ) - 凄く面白いですし展開が楽しみでドキドキしてます。作者さん体調には気をつけてください。 (2023年2月5日 23時) (レス) id: 763c9aa7d5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ノート角 | 作成日時：2019年11月19日 15時
