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〈朱の盆はぬらりひょんの右腕、というか腰巾着、というか一味のマスコットキャラクターのような。憎みきれない小悪党ではあるが、前述の立場にあるため、関わりは避けるべし〉
この文は所謂一言コメント、というやつだ。
父さんのアドバイスだからか、口語寄りで文が書かれている。
物は言いようだな、という感想はさておき。
「……」
数枚前のページに戻る。
〈ぬらりひょん〉
描かれているのは後頭部の長い、身なりのよい老人の姿。
驚くべきは、そのページ数。
朱の盆のページから何枚か捲って、ぬらりひょんのページの冒頭に至ったのだが、その間他の妖怪についての記載はなし。
つまりこの約10ページ近い中身が全て、ぬらりひょんに関するもの、ということだ。
他の妖怪は多くても4ページくらいなのだが。
〈ぬらりひょんは日本妖怪の総大将である。悪い方の。とにかく関わるな。少しでも影が見えれば、その事象から離れること〉
俺は思わず眉をよせた。
……夕方のは、行きずりだよな。
問題ない筈だ。
念のため、ぬらりひょんの項目に目を通す。
関わったと思われる様々な事件が並んでいた。
よくこれだけ調べたな父さん。
(片車輪…、あの火のついたトラックの画像か)
幾つかの事件を見るだけでも、ぬらりひょんを敵に回すことがどれだけ恐ろしいか分かる。
用いる策が多彩過ぎるのだ。
と、ページの隅に、これらの事件は全てゲゲゲの鬼太郎を倒すために成されたものである、という一文を見つけ目を見張る。
(全部潜り抜けてきたのか)
今でもゲゲゲの鬼太郎の噂が流れ、それこそつい最近友人から目撃例が寄せられた。
ということは生きている、つまりぬらりひょんは彼を倒せていないということで。
(本当に強い妖怪なんだな)
感嘆していると、テレビから猫型ロボットアニメのED曲が聞こえてきた。
ああ、もう30分経ったのか。
次回予告が終わったタイミングで、今日はこれで終わりなと諭せば、陽菜は少々複雑な顔をした。
若干の申し訳なさが込み上げるものの、約束は約束だ。致し方ない。
それでも、どんな話だった？という俺の質問を皮切りに感想を言い始めた陽菜は、最終的にとても楽しそうにしていた。
※
？ side
「彼奴め、始めて早々に失敗しおって」
「予想通りっていえば、予想通りだけどな……」
「しゃーねえ。次はオレが行くかね」
一陣の風を起こして、丑三つ時の暗闇から影が一つ消えた。
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tukina0123(プロフ) - とても面白かったです!!ゆっくりでいいので更新頑張って下さい！！ (2023年2月4日 21時) (
レス) id: 32e7754e7a (このIDを非表示/違反報告)
ブラザー坂本 - ぷぎゅぷぎゅ鳴る靴にはしゃぐはるなちゃんがめっちゃ可愛いです！！この兄妹推せます！素敵な作品をありがとうございます！ (2019年12月31日 7時) (レス) id: 40871cc89e (このIDを非表示/違反報告)
ノート角(プロフ) - みっこさん» そのようにおっしゃっていただけて嬉しいです。とても励みになります…！ お読みいただきまして、ありがとうございます！ (2019年11月25日 8時) (レス) id: 0ad2eeb457 (このIDを非表示/違反報告)
みっこ - お話の最初から朱の盆や蒼兄さんが出てくるとは素晴らしいw妹ちゃんの喋り方も可愛いし夢主くんがかっこいい！これからも更新頑張って下さい！ (2019年11月24日 21時) (レス) id: 57676473eb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ノート角 | 作成日時：2019年11月18日 0時
