私とアイドル。7【ツキウタ。】

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「…いない」







周囲の人に聞いても見てないと返されるばかりで余計に不安が掻き立てられる。焦りも出て来て、落ち着けと言い聞かせていると小さな女の子が目の前に焦った様子で走っててきた。






「お兄ちゃん、お兄ちゃんの探している女の子ってAってお姉ちゃん？」






不安そうに、その子から告げられた名前は正に探していた彼女の名前で。
俺は女の子に知っているの！？と訪ねれば、女の子はこくんと頷いた。





「あのね、喧嘩したんだって寂しそうにしてたの。それでね、お姉ちゃんのお話聞いてたら知らないおじさんが来て…私とお姉ちゃんに来いって…でも私、怖くて。そしたらお姉ちゃんが知らないおじさんの手を蹴って私に逃げてって…」





途中から涙目になる女の子。一生懸命話してくれたその内容に血の気が引くのが分かる。
それでも、女の子を不安にさせないように落ち着かせる。






「そっか、ありがとう。君に怪我が無くて良かったよ。…あのお兄ちゃんと待っててね。お兄ちゃんがお姉ちゃんを助けに行ってくるから」





女の子の頭を撫でながら、こっちに息を切らしながらやってくる新に女の子を預ける。





「葵！Aの目撃情報があった！！あの薬局の大きな看板近くの路地裏周辺で見たらしい！発見した人が警察呼んだ…って葵！」




「ありがとう新！その子お願い！」







新の呼びかけにも応じずに走る。
A、ごめん、俺があんなにきつく言わなければこんな事には…





裏路地に着いて辺りを見渡しながらAの名前を呼ぶ。
すると小さな声で、葵。と確かに聞こえる。





「A！？、どこに…！」






耳を澄ませながら奥へと進めば、目に飛び込んだのは男に馬乗りになられながら必死に抵抗するAの姿。







「A！！」





俺は走って男に体当たりし、Aを抱き起こす。





「A！怪我はっ、何もされてない！？」




「葵…っ、ごめ、大丈夫、っ始さんに…教わった護身術、効かなくて…」






泣かないように、唇を噛み締めて目にいっぱい涙を溜めながら強がるAをぎゅっと抱き締める。






「俺の方こそ、ごめん…でも、仲直りは後みたいだね」









「…兄ちゃん、痛てーじゃねぇか」






やっぱり体当たりだけじゃ直ぐ起き上がるよね…そう思いながらAを背中に隠す。






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