その者、ナゾトキ ページ18
酒を運び終わりそれぞれ好きな酒を一本譲り受け、部屋に戻って行った。
縁側に三日月が座っていたのでそちらに歩み寄り、隣へ座る。
「…聞いてもいいかしら？」
三日「俺に答えられるものならいいぞ？」
「前任を誰も殺していない、そうでしょう？」
三日「…そうだ。前任はある日居なくなった、審神者部屋は邪気が渦巻き荒れていて血を吐いた跡があってな。…堕ちたのだと、思った。だが、何処へ行ったのかは俺もわからんのだ。」
「堕ちたのならゲートは使えない。……"ここ"に、いるのよ」
三日「！！」
三日月は目を見開き立ち上がる。
和泉も立ち上がり、三日月を見上げた。
「私が探すわ。何か企みがあるかもしれないから動き出す前に。」
三日「…俺も行こう。」
「……貴方達を闇落ちさせたくないの、手を出さないと誓ってくれるのなら。」
三日「…あいわかった」
??「僕も入れてもらえないかな？……話のことだよ？」
「…にっかり青江」
???「私も。気になることがあってね」
三日「石切丸…」
青江「石切丸さんもかい？僕も、ずっと気になっていたんだ…何処からかはわからない、でもずっと声が聞こえていてね。」
石切「青江には声が聞こえるのか…私は度々影を見てね。場所は疎らだが同じくらいの大きさだったよ。」
「貴方達は、感じることができるのね。三日月同様、手を出さないと誓ってくれるのなら、連れていくわ。」
二人が頷いたのを見てから和泉はポケットを探り、折り紙を取り出す。
手のひらに乗せ、三日月へと向いた。
「前任を探す、これを半分に折って。…そしたらもう一度、半分に。」
三日月が折り紙を半分に折り、もう一度半分に折って和泉の手に戻す。
和泉は手をかざし、ふ…と息を整える。
「……探しもの 探しびと 探している場所
……探すもの 探すひと 探すべき場所
……導け 飛ぶものよ 彼の人の元へ 」
折り紙がかさかさとかってに折られ形を変えていく。
鶴になったそれは羽をぱたぱたと羽ばたかせ、飛んでいく。
三日「あなや…」
青江「凄いね」
石切「式かい？」
「…似たようなものね。距離で形がかわるの。鶴、つまり鳥だから近いわ。」
見失わないように追いかけていく。
縁側から畑を抜け、馬小屋を通り、本丸の敷地の端まで来た。
石切丸は限界のようでやや遅れながら走っていた。
「…！あれは……」
ぽつんとあったのは、井戸のようだった。
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作者名：時雨 | 作成日時：2019年8月30日 11時
