その者、サケ ページ16
和泉の言葉にニヤリと四月一日は笑う。
四月「やっと頭がまわるようになったな。お前はそうでなきゃな。」
「…ちょ、頭を撫でないで。貴方より私年上なのよ？」
四月「歳だけな。一応俺、和泉の師匠だから。」
「……本当に可愛くなくなったわ。昔はあんなに素直で可愛かったのに。頬にキスしただけで真っ赤になって。それが、どうしてこうなるのかしら。」
四月「あの頃は、何も知らない餓鬼だったんだよ。つか、その話は忘れろって。」
「可愛かった四月一日の貴重な話よ、忘れないわ。……何百年でも、覚えているから。貴方のことも、侑子のことも。」
四月「………あぁ。」
四月一日の表情が一瞬悲しげに笑う。和泉は四月一日の頭を撫でた。
「さて、本丸に戻らないと。無理にくっつけて直通にしたから時間経つのが早いのよ、あっち。」
四月「そういうのは先に言えよ。…梅酒、持っていくだろ？」
「四月一日が漬けたやつね！あれ美味しくて大好き。」
四月「大好き、ねぇ。…あとは？」
「蔵にたまってる大量のお酒、あれも。あっちかなり飲みそうなの沢山いるの。黒田の刀とか凄そうなのよね。」
四月「……運べんのか？」
「入口に何人か呼んでくるわ、その間に準備お願いね？」
四月一日は奥へ行き、マル、モロは蔵から酒を運んでくれる。
和泉はその間に本丸へ戻った。広間へ行き、誰かまだいるかと見回す。
何振かいたので声をかけた。
「この中でお酒飲む子はいるかしら？沢山あるから運ぶのを手伝って欲しいのよ。」
??「はーい、質問！あっ、ボク乱藤四郎だよ。お酒、短刀は飲んでいいの？」
「見た目未成年でも百年超えが当たり前のようだから、それぞれ飲める子は飲んで構わないわ。初めて飲む子は具合が悪くなるかもしれないから、必ず誰かといるときに飲むことが条件ね？」
和泉の許可がすると短刀たちが盛り上がった。可愛い光景にほのぼのしているとドタバタと何やら廊下から此方に向かって来た。
??「酒って言ったかい！？」
???「次郎、少し落ち着きなさい。主、私は太郎太刀。こちらは弟の次郎太刀、酒が好きなのですが、前任から酒を取り上げられずっと禁酒生活でして。」
次郎「酒が飲めるなら、次郎さん何だってやるよ！」
太郎「私もお手伝い致します。」
「ふふ、じゃあお願いしようかしら。」
次郎「そうと決まれば、急ぐよ！」
余程待ちきれなかったのか和泉を抱えあげ廊下を走る次郎太刀。
「目的地は審神者部屋よー。」
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作者名：時雨 | 作成日時：2019年8月30日 11時
