その者、チョウリ ページ12
早速こんのすけに食材を頼み、皆で厨へ向かった。
暫く使われた形跡のない厨だったが和泉が霊力で殆ど掃除し使えるようにした。
『お待たせ致しました！食材はこちらに置きます！』
こんのすけは野菜から肉魚、米や調味料まであらかた揃えてくれた。
ちゃっかり油揚げか多めに入っていたのに気付いた和泉はクスクスと笑う。
「ありがとうこんのすけ。貴方にもお稲荷作るから、待っててね。」
『なんと、私にも！？ありがとうございます！！』
堀川「あれ、主が作るの？僕らじゃなく？」
「沢山作るから手伝ってもらうけど、私が作るのよ？」
和泉「あんた料理出来んのか？」
「現世では毎日ね。たまに師匠が作ることもあるけど。」
薬研「前任は全くしなかったから、大将も作れないと思ったぜ。」
「あらあら、それじゃあまともな料理を作って見せなくてはね。」
そう言うと和泉はこんのすけに頼み大型の炊飯器を導入し、炊けるだけの米を炊いておいた。
油揚げを湯引きして出汁で煮込み味をつけ、その間に汁物の準備。
豆腐とわかめ、それと油揚げでみそ汁をつくり、炊き上がった米は幾つかに分けてあら熱をとる。
加州「主、卵は何に使うの？」
「それは玉子焼き、割って出汁を少し入れて混ぜててくれる？」
大和「主ー、これは？」
「おにぎり作るのよ、昆布とおかかと鮭。あとしおむすび、ふりかけのも作りましょうか。」
堀川「じゃあ僕らでやるよ。ね、兼さん。」
和泉「おう。そんくらいなら任せとけ。」
大和守、堀川、和泉守におにぎりを任せ、和泉は稲荷を作っていく。
玉子焼きは薬研と加州が頑張っていた。
薬研「……なかなか難しいな。」
加州「前任に作るの見たから、出来そうなんだけど………っと、初めてにしては上出来でしょ。」
「二人とも上手よ。もう少し火加減に注意したら完璧ね。」
和泉「美味そうだな……」
堀川「あっ！兼さん！」
和泉が作った稲荷へ和泉守が手を伸ばす。堀川が声をあげるのと和泉が反応するのはほぼ同時たった。
稲荷の皿を退けて代わりにモコナを和泉守の顔に押し付けた。
和泉「んぶっ？！」
「つまみ食いは駄目よ。」
黒饅頭のような縫いぐるみは、思いの外柔らかくふわふわもちもちしていたと、後に和泉守は語った。
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作者名：時雨 | 作成日時：2019年8月30日 11時
