プロローグ ページ2
…………………世に不思議は多けれど
全てのものに理あり
全てのものに真あり
全てのものに、必然あり
今宵も願いを抱えたモノが
ミセの扉を開きたる
それもまた 必然…………………
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紅い着物を大胆に着崩した女が黒色のソファに長くスラリとした足を組ませて座り煙管を口からゆっくりと離し、紫煙を部屋いっぱいに拡がらせた。
目の前に座る黒服の男は紫煙に咳き込むでもなく、それどころか煙など無いように眉ひとつ動かさずに女を見つめていた。
「……私に審神者になってほしい、それが貴方の願い？」
「はい。時の政府は、貴方のような方にこそ審神者になっていただきたいと思っています。」
女は目を細める。煙管を盆にカン！と叩き、それを置いて男に近づいた。
手を伸ばし、男の顎を指先で掬い真っ直ぐ見つめる。
「私が聞いたのは、"貴方の願い"よ。政府がどうとかじゃないの。」
「…失礼しました。ですが、私の願いでもあるのです。」
「……そう。叶えるには、"対価"が必要よ。」
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作者名：時雨 | 作成日時：2019年8月30日 11時
