拷問と不器用 ページ22
太宰は途中で引っ張るのを諦めた。
太「……なんでそんなに焦ってるのだい?」
『…焦ってない。呼ばれてるんでしょあの子に…早く行ってきて』
私はシッシ!と虫を払う感じで言った。
太宰は動かなかった。
太「君が喋るまで動かないよ」
『………』
太宰は布団の無いベットに座った。
そしてコチラをじーっと見つめていた。
私は毛布に包まり、足元を見ていた。
すると太宰は口を少し開けた。
太「あの子…知り合いなのかい?」
『違う…全く知らない』
太「本当に汗っかきなのかい?」
『違う…どちらかと言うと寒がり』
太「………」
『…………』
太宰の質問には答えるが自分から話さない。
そしてついに黙り込んだ。
太「………なぜ怖がってるんだい?」
『っ!!』
太宰はふと、そう口にした。
私はビクッと反応した。
太「昨日は私の技を見抜いたよね?私に勝つくらい強いのに…何故怖いのだい?」
太宰は本当に分からないと言っていた。
私は怖いと言う感情を当てられると思ってなかった。
(黙ってたら……何も解決しないよね…)
私は呼吸を整えた。
『…………なら、一つ…言ってもいいかな?』
太「!…いいけど?」
太宰は少し明るい声で話した。
私は指で髪をクルクル回した。
『一つ、知り合いになったから、お近付きの印として……秘密を教えてあげる』
私はそう言って立った。布団は腕で抑えているので落ちない。
私は布団と一緒に太宰とベットに倒れた。
そして2人で布団の中に入った。
太宰は何も言わなかった。
私は本心を少し曝け出した。
『私ね…怖いの……怖くてしんどくて、指先まで震えて戦慄してね。もう、意識が飛びそうくらいなのっ……』
私は小さくそう言った。手は震えた。
死の感覚…誰も味わう事が出来ない理由が分かった気がした。
太宰は私の汗を手で拭いた。
『私はあの子が怖い……強さじゃない。オーラとかでも無い……未来を知ってたから怖いの』
太「未来を知ってた?」
『…もしかしたらそれに成るかもしれないと言う恐怖の未来』
私は黙った。
太宰は丁寧に汗を取ってくれた。
『太宰……汚いし、汗なんて取らなくなっていいよ』
太「汚くないよ。私がしたいのだから黙ってされておいてよ」
太宰はそう言った。
私は太宰の不器用さに笑った。
『ほっっっっっっっっっと不器用だねっ
もっと違う言い方あるじゃん…うふふっ』
私の目からは涙が溢れた。恐怖をここまで耐えたのだ。
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作者名:しぐまざん(シグマ) | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp//
作成日時:2020年6月26日 1時