何の気なし ページ47
＿＿＿＿＿
「ごめんね。」
吹雪は申し訳なさそうに微笑んで一言謝ると、紫音の手に自身の手を重ねて頬から離した。
ゆっくりした動作で重ねられた手も解放され、触れどころを失った紫音の両手がだらんと垂れる。
「悩ませた後で悪いけど、実はあの時は特に深い意味なんてなかったんだ。」
「…え？」
拍子抜けした。
今まで自分は何に悩まされていたのだろう？
とても馬鹿馬鹿しいことに気力を使っていたような気がしてしまった。
「からかってやっただけってこと？」
「悪く言うとね。」
「……吹雪士郎……。」
ため息と同時に姓名を呟くと、紫音の怒りのオーラを感じたのか吹雪は再び謝罪を口にした。
「……別にどう思おうと君の勝手だけど。」
「ちなみにどっちのパターンだと思ってたの？」
「言わない。
もうやめてよ？ああいうのは勘違いされやすいでしょ。深い意味なくやってても、面食いな女子ならどうなってたか。」
「意味があればいいってことかい？」
「だって好きな子には触れたくなっても仕方ないでしょ。誰にでも気安く触っちゃうような、女たらしは嫌だって話。」
「そっか。」
心臓バクバクになってまで再現して、無駄な消耗をしたな…としみじみ思った。
人を散々悩ませておいて、深い気はありませんでした…なんて自由人過ぎるじゃないか。
これ以上関わるとろくな事がなさそうだ。
さっさと退散して、大分時間が押しているが明日の準備に取り掛かろう。
そう思って、吹雪を置いて帰ろうと踵を返した時。
「……今度は何？」
後ろから横腹辺りに手を回され、バックバグの形でホールドされた。
振りほどいて進もうとしたが案外力が強く、紫音の咄嗟の作戦は呆気なく失敗した。
「私がいまさっき言ったこと忘れた？ホントに、これから君のこと軽い男だと思うよ。」
「決めつけは良くないなぁ。……僕だって、何の気なしに君にここまで付き合ってるんじゃないんだよ…？」
呆れのつもりで紫音が言うなり、耳元で囁かれた意味深な告白。
背中越しに感じる体温と、世の女子がコロリといってしまいそうなレベルの甘い声。
一瞬ゾクッとする感覚が訪れ、紫音の胸がドクンと波打った。
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ツナ(プロフ) - nmiyu0922さん» ホントですか…！二度もありがとうございます！更新ペース落ちてしまって申し訳ないです。もうすぐ続編いきますので！ (2020年6月21日 8時) (
レス) id: 04f33d8056 (このIDを非表示/違反報告)
nmiyu0922(プロフ) - あ゛ぁ゛〜、本当に好きです…。← (2020年6月21日 7時) (レス) id: 719e37fa2d (このIDを非表示/違反報告)
ツナ(プロフ) - nmiyu0922さん» ありがとうございます〜！嬉しいです、やる気湧いてきました。ご期待に添えるよう頑張ります。 (2020年6月13日 13時) (レス) id: 04f33d8056 (このIDを非表示/違反報告)
nmiyu0922(プロフ) - 本当に毎回面白いです！！！！更新頑張ってください！ (2020年6月13日 1時) (レス) id: 719e37fa2d (このIDを非表示/違反報告)
ツナ(プロフ) - アリスさん» こんばんは！閲読・コメントありがとうございます。姫野は私の好みを詰め込んで誕生した子です。性格も結構悩んだのでそう言って貰えて嬉しいです！更新頑張ります♪ (2020年5月19日 22時) (レス) id: 04f33d8056 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ツナ | 作成日時：2020年5月14日 19時
