先輩の余裕 ページ46
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吹雪はすっかり記憶にないようだが、紫音は最初から最後までハッキリ覚えている。
初対面の先輩男子に、あそこまでドギマギさせられた経験など とうにないのだから。
「異性に触れたくなるのは大体２パターン。１つは仲間だと思ってるから。もう１つはその子のことが好きだから、でしょ？」
吹雪があの時言っていたことをほとんどそのまま、紫音が淡々と述べる。
ここでようやく記憶が舞い戻った吹雪だが、真ん前にいる紫音を止める様子はない。
思い出したと云うことは、この後紫音がどう動くかもわかっていると云うこと。
紫音は顔が熱くなるのを感じて心を無にしながら、両手を吹雪の整った顔に伸ばす。
身長差は下１桁程度なので、紫音が背伸びしなくとも簡単に届いた。
輪郭を両手で包みながら、どうにか平然を保ってあのセリフを一言。
「今僕は、１つ目のパターンと２つ目のパターン、どっちの心境でこうしてると思う？」
『僕』なんて一人称は紫音は使わないが、ここはより再現度を高めるため。
「……顔近いね。」
「うん。」
「手、温かいよ。」
「うん。」
下手に話すと声が裏返ったり震えたりしそうで、「うん」と単調に答えることしか出来なかった。
心臓の音が、聞こえるんじゃないかと心配になるぐらいバクバクうるさく鳴っている。
夜の森の中だが、流石にここまで接近すれば相手の顔色くらい伺える。
ここでタイミング悪く風が横から吹いて来て、紫音の長い前髪が風になびく。
いつもは隠れている右目が姿を現し、
羞恥が全面的に押し出されたような、照れたような紫音の歪んだ表情が晒される。
「「………。」」
沈黙が辛く感じた。
紫音はこんなにもドキドキしているのに、吹雪は顔色１つ変えずに毅然と紫音の表情を一点に見つめている。
触れたままの頬もひんやりしたまま、全く熱を持っていない。
これが先輩の余裕と云うものだろうか。
経験や恋愛常識で大きく遅れをとる紫音は、こうしている最中も吹雪にからかわれているんじゃないかと疑心暗鬼になる。
頼むから爆笑でも文句でもいいから、何か言ってくれないか。……心の底からそう思った。
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ツナ(プロフ) - nmiyu0922さん» ホントですか…！二度もありがとうございます！更新ペース落ちてしまって申し訳ないです。もうすぐ続編いきますので！ (2020年6月21日 8時) (
レス) id: 04f33d8056 (このIDを非表示/違反報告)
nmiyu0922(プロフ) - あ゛ぁ゛〜、本当に好きです…。← (2020年6月21日 7時) (レス) id: 719e37fa2d (このIDを非表示/違反報告)
ツナ(プロフ) - nmiyu0922さん» ありがとうございます〜！嬉しいです、やる気湧いてきました。ご期待に添えるよう頑張ります。 (2020年6月13日 13時) (レス) id: 04f33d8056 (このIDを非表示/違反報告)
nmiyu0922(プロフ) - 本当に毎回面白いです！！！！更新頑張ってください！ (2020年6月13日 1時) (レス) id: 719e37fa2d (このIDを非表示/違反報告)
ツナ(プロフ) - アリスさん» こんばんは！閲読・コメントありがとうございます。姫野は私の好みを詰め込んで誕生した子です。性格も結構悩んだのでそう言って貰えて嬉しいです！更新頑張ります♪ (2020年5月19日 22時) (レス) id: 04f33d8056 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ツナ | 作成日時：2020年5月14日 19時
