僕の役目 ページ43
＿＿＿＿＿
「……所々誤魔化したけど、意外と平気だった気がする。」
「凄いね。ブランクあったのに。誤魔化したことすら気付かなかったよ。」
「…それ、君が鈍いだけじゃない？」
「え……？」
痛いところを突かれ、吹雪は素っ頓狂な声と同時に目を逸らした。
紫音は心底微妙そうな顔をした後、恥を承知でミスした箇所を挙げた。
「例えば雰囲気変わる直前。入りで もたついたせいで、１回多く繰り返してたの。
それに、ペダルが上手く踏めなくて時々音切れてた。途中で指も滑ったしね。」
「そりゃ…わからないなぁ。楽譜見たことないし、僕ピアノ弾けないしね。」
「それもそうか。
あの、覚えてなかったところ確認したいんだけど…。」
「楽譜の棚ならそこにあるよ。」
「どうも。」
紫音は 指疲れたー、なんて言って手を振りながら棚に寄って行った。
楽譜の量に圧倒され、「多過ぎる」だとか「整理されてない」だとか文句を零したが、１冊１冊 つまみ出してはしまってを繰り返し始めた。
口を開けば憎まれ口を叩くし、何かあればすぐ文句を言う紫音。
今回もバッチリその通りだったが、譜面を追う目、そして横顔はとても生き生きとしていた。
音符が羅列している紙面を読むだけで何が楽しいのか、隣でその様子を見ている吹雪にはわかりかねる。
しかし、やはり紫音はピアノが大好きだった。
それだけは本人に聞かずとも、きっと誰が見てもわかる。
「(これで僕の役目は一区切りだね。)」
声には出していないが、紫音に直接囁くように視線を送った。
幼い紫音に託された２つ目の願いは、彼女に音楽室の存在を教えること。
来るまでに時間はかかったが、無事に紫音はピアノと再会を果たし、恐らく暫くここに入り浸ることになるだろう。
「１つ聞くけど。サッカーとピアノ、どっちを極めるの？」
「私がどっちかやめると思った？両方やるに決まってるでしょ。
いくらピアノ見つけたからって、流石に合宿まで来ておいてサッカーやめるなんて有り得ないよね。」
さも当然のように、呆れ顔でまくし立てた。
十数分前の自信なさげな紫音はどこへやら。
元々芯は強かった紫音が、悩み事を消化して更に強くなったと云うことで、結果オーライだが。
「そっか。……ふふ、やっぱり紫音ちゃんは ちょっと生意気な方がいいね。」
「"いいね" ってどういう意味で言ってんの。」
「似合うよって意味で。」
「そう。」
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ツナ(プロフ) - nmiyu0922さん» ホントですか…！二度もありがとうございます！更新ペース落ちてしまって申し訳ないです。もうすぐ続編いきますので！ (2020年6月21日 8時) (
レス) id: 04f33d8056 (このIDを非表示/違反報告)
nmiyu0922(プロフ) - あ゛ぁ゛〜、本当に好きです…。← (2020年6月21日 7時) (レス) id: 719e37fa2d (このIDを非表示/違反報告)
ツナ(プロフ) - nmiyu0922さん» ありがとうございます〜！嬉しいです、やる気湧いてきました。ご期待に添えるよう頑張ります。 (2020年6月13日 13時) (レス) id: 04f33d8056 (このIDを非表示/違反報告)
nmiyu0922(プロフ) - 本当に毎回面白いです！！！！更新頑張ってください！ (2020年6月13日 1時) (レス) id: 719e37fa2d (このIDを非表示/違反報告)
ツナ(プロフ) - アリスさん» こんばんは！閲読・コメントありがとうございます。姫野は私の好みを詰め込んで誕生した子です。性格も結構悩んだのでそう言って貰えて嬉しいです！更新頑張ります♪ (2020年5月19日 22時) (レス) id: 04f33d8056 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ツナ | 作成日時：2020年5月14日 19時
