覚えてる ページ42
＿＿＿＿＿
長さも幅もわからない廊下を少し進み、今度は分厚いガラス張りの内開きドアを開けた。
すると吹雪がドア横のスイッチを押し、パッと部屋の白い電気がついた。
急に明るくなったので うっ…と目が眩んだ紫音だったが、薄らと目を開けて部屋の全貌を見渡した。
「………音楽室？」
見違える筈がない。
かつて毎日目にしていたグランドピアノが、部屋の真ん中に堂々と佇んでいた。
「そういえば私の演奏聞いたって、ここで？」
スポーツセンターにこんな立派な楽器が揃っているとは、夢にも思わなかった。
次々と出てくる紫音の疑問に、吹雪は全て微笑んで頷き返した。
「弾いていいの？」
「勿論。」
夜だが、本館とは離れているので近所迷惑にはならないだろう。
紫音は緊張気味にピアノに歩み寄り、鍵盤蓋を開け、真っ赤な布を取った。
「もしかしたら、４歳の時より下手かも。」
座りながらそう言って、困ったように笑った。
さっきまでの態度と豹変し、また１つ紫音の表情のバリエーションが増えた。
「楽譜は？」
「まだ覚えてる。学校のピアノとか、楽器屋の試し弾きのやつとかで極偶に弾いてたから。」
背付き椅子の高さ調節が完了し、準備OK。
「十八番なら今でもいけると思う。ベートーヴェンの＿＿」
「『エリーゼのために』かな？」
「そう。」
弾き始めは hi E の音。
小指から弾いていた記憶があるので、ミの鍵盤に小指を。
「(多分覚えてる。大丈夫だよね。)」
左手もスタンバイ完了。
１度深呼吸をし、ミの鍵盤を弱く押す。
こうなってしまえば、あとは止まらずに弾き切るのみだ。
頼むから記憶が飛ばないでくれ、と祈りつつ、鍵盤の上で指を滑らせ続けた。
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ツナ(プロフ) - nmiyu0922さん» ホントですか…！二度もありがとうございます！更新ペース落ちてしまって申し訳ないです。もうすぐ続編いきますので！ (2020年6月21日 8時) (
レス) id: 04f33d8056 (このIDを非表示/違反報告)
nmiyu0922(プロフ) - あ゛ぁ゛〜、本当に好きです…。← (2020年6月21日 7時) (レス) id: 719e37fa2d (このIDを非表示/違反報告)
ツナ(プロフ) - nmiyu0922さん» ありがとうございます〜！嬉しいです、やる気湧いてきました。ご期待に添えるよう頑張ります。 (2020年6月13日 13時) (レス) id: 04f33d8056 (このIDを非表示/違反報告)
nmiyu0922(プロフ) - 本当に毎回面白いです！！！！更新頑張ってください！ (2020年6月13日 1時) (レス) id: 719e37fa2d (このIDを非表示/違反報告)
ツナ(プロフ) - アリスさん» こんばんは！閲読・コメントありがとうございます。姫野は私の好みを詰め込んで誕生した子です。性格も結構悩んだのでそう言って貰えて嬉しいです！更新頑張ります♪ (2020年5月19日 22時) (レス) id: 04f33d8056 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ツナ | 作成日時：2020年5月14日 19時
