２回目の質問 ページ38
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吹雪が来たので被っていたタオルを取り、貰った保冷剤を手で握る紫音。
「何か用？」
「？ごめん、歓声で聞こえないよ。」
「歓声は君のせいでしょ！何か用？って言ったの！」
一々声を荒らげるのも疲れる。
紫音は乾きかけた喉を再び水分で潤す。
まさか保冷剤を渡すためだけに来たのか？と思ったのも束の間、女子を騒がす吹雪の整った顔が近づいて来る。
「え。な、なに？」
一定距離を超えたので、反射的に紫音は目をつぶった。
流石に恋人同士のアレじゃないだろうな…と思っていると、耳元で声がした。
「こうすればお互いの声、聞こえるよね？」
あ、甘い。視覚を遮ったからだろうか。
耳に息がかかり、ゾワっとした感覚が背中を伝った。
女性ファンに恨みの目を向けられないと良いのだが。
「た、確かによく聞こえるけど、いつもの声で喋って貰えると助かる。ほら、君のせいでファンが気失う前に早く。」
「ふふ、せっかちだね。まあ、時間も多くないから手短にしようか。」
直接の声が届く距離なので、今目を開けようものなら紫音が耐えられない。
吹雪がどうしているのかはわかりかねるが。
「シュートを止められた時、紫音ちゃんがかなり動揺してるように見えたからついね。何か言われたの？」
「あぁ、見てたの。煽られた私が一方的に怒ってただけ。ちょっと余計なことまで話しちゃった。」
「それは、相手がピアノの技を使ったから？」
「ご名答。やっぱり君にはバレるよね。」
紫音の記憶には無いが、吹雪によると音楽についてかなり踏み入ったところまで話していたらしい。
今更、彼に隠し事は出来なかった。
「これは、答えたくなかったら無視で構わないけど…紫音ちゃんがピアノをやめた理由と関係あるのかな？」
「……ごめん、ちょっとそれは…。」
「…そっか。やっぱり今の質問は忘れて。」
薄目を開けてみると、吹雪は笑顔だったけれど、どこか諦めたような悲しげな笑みだった。
正直、ここまで話しておいて途中で切るのは申し訳ない。
吹雪にやめた理由を聞かれるのはもう２回目なので、いい加減話してしまっても良いかもしれない。
だけど、この場では話せなかった。
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ツナ(プロフ) - 怪盗あーるさん» わぁ、ありがとうございます！最近リアルでやらなきゃいけない事が溜まってるんですけど、更新途絶えないよう頑張ります(笑) (2020年4月27日 0時) (
レス) id: 04f33d8056 (このIDを非表示/違反報告)
怪盗あーる - いつも更新を楽しみにしています。これからも応援しています! (2020年4月26日 21時) (レス) id: 6e9264e8f1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ツナ | 作成日時：2020年4月7日 18時
