心配性 ページ26
＿＿＿＿＿
数日後、迎えたＦＦＩアジア予選３試合目。
仕組まれた冤罪事件に巻き込まれた円堂は戻って来られず、今日の試合は欠場。
チーム内では一星への不信感も募っており、更に監督は彼をスタメンに起用するので余計に気がかりだ。
バスがスタジアムに到着し、選手はこれから着替えてベンチへと移動する。
関係者用入口もロッカールームも同じ１階なのだが、紫音はキョロキョロと周りを見渡して観客席へと続く階段を登ろうとしていた。
♪♪
紫音が自ら観客のいる場所に行こうとするのが妙で、タツヤはその背中に声をかけた。
「どこに行くんだ？」
「ゴミ捨てに。」
と言って、紫音は中身を飲み干した空き缶をチラチラ降って見せた。
「この前のココア…また飲んだんだ。」
「そう。マイブームなの。」
「迷ったら大変だから一緒に行こうか？」
「客席だよ？タツヤが行ったら女子ファンに囲まれるでしょ。」
「え…だったら紫音も＿＿」
「大丈夫、近くだし。すぐ追いつくから先に行ってて。」
問答無用だった。
紫音こそ、男女問わずファンが多いんだから握手とかサインだとかせがまれてもおかしくないんじゃないか。
あまり１人で行動させたくないのだが、キッパリ断られたのについて行くのも過保護のような気がする。
下手したらストーカーだ。嫌われるかもしれない。
「(ただのゴミ捨てなのに、こんなに神経質にならなくたっていいよな…。)」
思ったより心配性なんだな。とタツヤは溜息をつくと、薄暗い廊下を歩き始めた。
途中で正面から人が歩いて来るのに気付いた。
そいつはもう青色のユニフォームに着替えている。そして髪色はそのユニフォームよりも濃い青。
って、一星じゃないか。
彼は無言でタツヤの横を通り抜け、階段を登って客席の方に向かって行った。
「(……紫音！)」
一星が登った階段は間違いなく、つい先程紫音が使ったところだった。
そして恐らく、紫音はまだ上にいるかもう降りて来ているか＿＿＿
また失敗した。これでは湖の時と同じだ。
無理言ってでもついて行くべきだった。
そろそろ着替えないと作戦会議に間に合わなくなりそうな時間だが、それは紫音もそうだ。
肩にかけていたエナメルバッグをその場に落として、タツヤは一星の後を追いかけた。
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ツナ(プロフ) - 怪盗あーるさん» わぁ、ありがとうございます！最近リアルでやらなきゃいけない事が溜まってるんですけど、更新途絶えないよう頑張ります(笑) (2020年4月27日 0時) (
レス) id: 04f33d8056 (このIDを非表示/違反報告)
怪盗あーる - いつも更新を楽しみにしています。これからも応援しています! (2020年4月26日 21時) (レス) id: 6e9264e8f1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ツナ | 作成日時：2020年4月7日 18時
