抜け駆け ページ15
＿＿＿＿＿
♪♪
「吹雪君。姫野さんが戻る直前に、何をしていましたか？」
「え…食堂が空くのを待って、僕の部屋で話してました。」
「内容は覚えてますか？」
流石に忘れるわけがない。
＿＿「ずっと一緒にいてくれる？」
＿＿「私が大人になったら結婚してもいいんだけど。」
記憶力云々の問題ではなく、印象が強すぎて忘れられない…と云う方が正しいが。
「覚えてますけど…。」
「その内容や吹雪君が言った言葉によって、過剰に感情の変化があって、姫野さんが薬の効果を跳ね返してしまった…ということも考えられますね。」
身に覚えはある。
例えば、４歳の脳に反して異常に胸がドキドキした…とかだろうか。
あの時つい口走ってしまった告白擬きが、結果的に紫音の幼児化を打ち破ったのだ。
「吹雪士郎、私に何か言った？」
何も知らない紫音は吹雪の心情も知らずに、何食わぬ顔で平然と聞いてくる。
「……言ったかもね。」
「いや教えてよ。」
「また今度ね。」
「何でよ。今じゃダメなの？」
ポンポンと２人で会話のキャッチボールを続けていると、もう聞き慣れた監督の高笑いが言い合いを遮った。
「それはそうと姫野さん。体の方は問題ありませんか？」
「どうして？普通だけど。」
「食事摂取量がかなり落ちていた筈ですよ。本来なら空腹で動けなくてもおかしくないのですが。」
「……言われてみれば凄いお腹空いてるかも。」
「夕飯、食べに行こうか。僕もまだ食べてないんだよね。」
「何から何まで申し訳ない…。」
紫音は空腹感で前の話題など頭にないみたいだが、吹雪はどこか腑に落ちない様子だった。
深い気持ちなどなく「好きだよ」なんて言ってしまったのに、紫音はそれを一切覚えていないのだ。
もし覚えていてもかなり恥ずかしいし、抜け駆けしたようでタツヤやヒロトに申し訳ないのでそれはそれで大変なのだが。
…しかし、失敗を学べたということで良しと、この時は前向きに振り切った。
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ツナ(プロフ) - 怪盗あーるさん» わぁ、ありがとうございます！最近リアルでやらなきゃいけない事が溜まってるんですけど、更新途絶えないよう頑張ります(笑) (2020年4月27日 0時) (
レス) id: 04f33d8056 (このIDを非表示/違反報告)
怪盗あーる - いつも更新を楽しみにしています。これからも応援しています! (2020年4月26日 21時) (レス) id: 6e9264e8f1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ツナ | 作成日時：2020年4月7日 18時
