心配無用 ページ38
＿＿＿＿＿
暫くして赤、青、緑チームもノルマを達成したらしく、皆座って深呼吸を繰り返す。
「では、皆さんで協力してティッシュを箱に戻してください。掃除用に使うので、"綺麗に" 入れてくださいねえ。黄色チームは免除です。」
「「「えぇー！？」」」
１度取り出したティッシュを綺麗に戻すなど、殆どの人がやることではない。
まさか片付けろと言われるなんて思ってもいなく、ミニテーブルの上には薄い紙切れが無造作に積み上げられている。
「俺ら、本当にやらなくていいのかよ？」
折角の１位の特権だが、不服そうな顔で剛陣がチームメイトに問う。
「確かに、誰かに任せるのも悪いな。」
「そうですね。紫音、俺達のは＿＿」
「それなら心配無用。こんなこともあろうかと、全部２つ折りにして置いておいたから。」
「「「え？」」」
良心的で生真面目なタツヤ達だったが、それには及ばなかった。
紫音がドヤ顔(に見える)で指さしたミニテーブルの上には、言った通り丁寧に２つ折りにされたティッシュが重ねて置いてあった。
「今まで気が付かなかったんだ。」
「走るのに夢中だったからな……って、じゃあ俺らはビリでも片付ける必要なかったのか！？」
紫音の予期せぬファインプレーに目を丸くした剛陣が、その瞳を更に大きく見開かせた。
それに対し、重ねられたティッシュをまとめて箱に入れ直しながら、紫音が首を横に振った。
「代わりに１位だったチームのを片付けてたと思う。……とまあ、残念ながら私達の褒美は無くなった訳だけど。」
「その分長く休憩出来るな。」
いつの間に取って来たのか、４本のドリンクボトルを抱えたタツヤが、その内の１本を紫音に差し出した。
「ありがとう。」
「気にしないで。紫音も、ティッシュ片付けてくれてありがとう。」
「偶然だけどね。」
タツヤは本当に、優しいし気が利く、と紫音は思った。
それを鼻にかける様子もなく、さり気なく相手のフォローも欠かさないところがまた良いところだ。
合宿初日は「話し相手」なんて言って持ち始めた関わりだが、今となってはチーム内で最も信頼のおける存在だ。
もしこの合宿が無かったら彼と知り合うことも無かったのだと思うと、少し怖くなるくらいに。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 140人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ジュネ - そうですか。 (2020年4月7日 15時) (
レス) id: fc52a805ec (このIDを非表示/違反報告)
ツナ(プロフ) - ジュネさん» すみません、もう消してしまったので作品は残ってないですね…。 (2020年4月6日 12時) (レス) id: 04f33d8056 (このIDを非表示/違反報告)
ジュネ - 代表に選ばれた四つ子姉妹をもう一度読みたいです。 (2020年4月6日 11時) (レス) id: fc52a805ec (このIDを非表示/違反報告)
女海結香 - ありがとうございます！他の作品も見てくれると嬉しいです！ツナさんも他の作品が出来たら教えてください！ (2020年4月5日 19時) (レス) id: a0c2a02850 (このIDを非表示/違反報告)
ツナ(プロフ) - 女海結香さん» 大丈夫ですよ！お互い更新頑張りましょう！ (2020年4月5日 17時) (レス) id: 04f33d8056 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ツナ | 作成日時：2020年3月12日 0時
