好意を含む厚意 ページ34
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本当は観客席ではなく、その辺のベンチにいて貰える方がタツヤは安心だが、何の気なしにボールがポンポン飛んで来るので嫌だ、と紫音が拒否したのだ。
チームで完全に孤立した一星は無論練習に来ておらず、何処で何をしているかはわからない。
しかし、今もグラウンドのどこかに身を潜めており、紫音が１人なのを狙って何か仕掛けてくる…と云う可能性も否定出来ない。
慎重で注意深いタツヤは、その捨て切れない可能性を無視出来ず、こうして時折紫音の無事を確認するのだった。
「そんなに心配しなくても…」と言いたい気持ちが紫音に無いわけではない。
余所見をしていて彼が練習に集中出来ない…もっと言えばミスをしてしまうかもしれない。
だが、折角心配してくれる彼の厚意(好意を含む)を払い除ける気は更々無いので、時々目が合うと紫音は控え目に手を振るのだった。
それから数十分後、前の席の背もたれに組んだ両腕を置き、そこに顎を乗せると云う楽な体勢になった紫音の目と鼻の先に、ボールが飛んで来て ２、３回跳ねた。
キックミスだろうか。ここまで飛んで来たのは本日新記録だ。
「あれ？紫音ー！ごめん、そのボールこっちに送ってくれない？」
恐らくボールを飛ばした張本人、稲森がブンブン手を振りながら叫ぶ。
転がったボールを拾い、通路に立った紫音はそれを軽く真上に放り投げた。
そして真下に落下する球体の斜め下目掛けて、足を振り上げる。
と、ここで「しまった」と思う。
振り上げたのは怪我をした右足。こちらで蹴っては練習を休んだ意味が無い。
咄嗟に右足を引っ込めようとしたがもう遅く、足には ずしっと衝撃が伝わり、中途半端に足を引っ込めたことでコントロールは素人並に狂ってしまった。
ボールは思わぬ向きへ方向転換し、同時に紫音は「痛っ！」と声を上げて右足を摩る。
「えぇっ！？紫音大丈夫！？」
「き、急所に当たっただけだから平気…。」
掌を稲森に向け、「問題ない」とのジェスチャーをして誤魔化す。
何とか顔に出さないように耐えたものの、シャワー後に嫌な汗をかいてしまった。
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ジュネ - そうですか。 (2020年4月7日 15時) (
レス) id: fc52a805ec (このIDを非表示/違反報告)
ツナ(プロフ) - ジュネさん» すみません、もう消してしまったので作品は残ってないですね…。 (2020年4月6日 12時) (レス) id: 04f33d8056 (このIDを非表示/違反報告)
ジュネ - 代表に選ばれた四つ子姉妹をもう一度読みたいです。 (2020年4月6日 11時) (レス) id: fc52a805ec (このIDを非表示/違反報告)
女海結香 - ありがとうございます！他の作品も見てくれると嬉しいです！ツナさんも他の作品が出来たら教えてください！ (2020年4月5日 19時) (レス) id: a0c2a02850 (このIDを非表示/違反報告)
ツナ(プロフ) - 女海結香さん» 大丈夫ですよ！お互い更新頑張りましょう！ (2020年4月5日 17時) (レス) id: 04f33d8056 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ツナ | 作成日時：2020年3月12日 0時
