見えない恐怖 ページ16
＿＿＿＿＿
一星に言われたこと全部を話してしまうと云う選択も無きにしも非ず。
言ってしまえば楽になるし、口外禁止と言えばタツヤはそれを守ってくれるだろう。
「紫音、言いづらかったら無理して言わなくても…。」
「…正直隠すのも面倒臭いから言いたいんだけど………誰にも言わないでって言ったら、その約束守ってくれる？」
「勿論さ。」
「じゃあよろしく。一星充には試合の後＿＿」
ようやく紫音が打ち明け始めたその時、部屋の壁から ドンドンッと２回、大きな音が伝わって来た。
明らかに物音ではない。
まるで紫音の話を中断させるかのように、誰かが強く殴ったような音だった。
紫音は一瞬身を竦め、途端に怯えたような表情に豹変した。
抱きしめる力が強くなり、タツヤも紫音の異変に気付く。
「ここの隣って誰の部屋なんだ？」
「…片方はマネージャーだけど、この時間は居ない筈。多分今の音はそっちからじゃない。
……もう片方は……空き部屋。」
女子だから、と云う実に胡散臭い監督の計らいで、紫音の部屋は男子とは数部屋の空き部屋を挟んで配置されている。
誰も居ない筈の部屋から、人間味のあるわざとらしい物音。
紫音の顔が サーっと青白くなる。
「紫音、震えてないか？」
「そう…？私は別に…。」
「…怖いのか？」
「……………いや、気にはなるけど。」
答えるまでの不自然な沈黙から、紫音が怖がっているのは一目瞭然だった。
これもまた紫音の意外な一面。
恐らく紫音は怖がりなのを隠したがっていると考え、タツヤは深入りせずに提案した。
「誰か居るのかもしれないな。見に行ってみるか？」
「…タツヤも行くなら。」
ひんやりと寒気がするので紫音はジャージを羽織り、タツヤに心配されながらも覚束無い足取りで隣の部屋の扉の前に移動した。
流石にドアノブを握るのは無理だと言うので、それ程ビビっていないタツヤが引き戸をスライドさせようとする。が…
「鍵が閉まってるみたい…って、紫音！？」
「無理…。」
見えない恐怖に駆られ足腰に力が入らなくなった紫音は、扉を前にしゃがみこんでしまった。
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ジュネ - そうですか。 (2020年4月7日 15時) (
レス) id: fc52a805ec (このIDを非表示/違反報告)
ツナ(プロフ) - ジュネさん» すみません、もう消してしまったので作品は残ってないですね…。 (2020年4月6日 12時) (レス) id: 04f33d8056 (このIDを非表示/違反報告)
ジュネ - 代表に選ばれた四つ子姉妹をもう一度読みたいです。 (2020年4月6日 11時) (レス) id: fc52a805ec (このIDを非表示/違反報告)
女海結香 - ありがとうございます！他の作品も見てくれると嬉しいです！ツナさんも他の作品が出来たら教えてください！ (2020年4月5日 19時) (レス) id: a0c2a02850 (このIDを非表示/違反報告)
ツナ(プロフ) - 女海結香さん» 大丈夫ですよ！お互い更新頑張りましょう！ (2020年4月5日 17時) (レス) id: 04f33d8056 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ツナ | 作成日時：2020年3月12日 0時
