詮索 ページ7
先輩が連れてくる女の子はいつも違った。
声からして同じ人の時もあるけどいろんな女の子を連れ込んでいる。
女の子達本人もこれが噂の真相だとは思っていないだろう。
『んっ、はぁ…も、……』
『……よ、ーーー…』
行為中、あまり声を我慢していない2人。
本当に誰も来ないと信じているのか。
噂が広がってからそれを確かめにくる生徒が増えたと言うのに。
いつ見つかってもおかしくないのに余裕なもんで。
実際見つかってめんどくさい事になるのは私もである。
行為中は図書室から出ていきたいと打診したことがあったが、人を呼ばないようにするためなどという謎の規制をかけられた。
行為が終わった後、忘れ物をしたりしてまた戻ってきたら嫌なのでしばらくはカウンターの下で過ごす。
その後図書室を閉める時間になったら軽く掃除をしてから出る。
いくつかあるゴミ箱の中身をかき集めるため覗くと、使用済みのゴム。
自分で捨てて欲しいと伝えてはいるものの、毎回図書室のゴミ箱に捨てて帰る先輩。
女の子がいるのに持ち帰るわけにもいかないのはわかるけれど、それを捨てるのは私だから勘弁してほしい。
ゴムしか入っていない袋の口を縛り、他のゴミで見えないようにまとめる。
窓の施錠をしてゴミ袋を持ち、図書室を出る。
鍵を閉めてちゃんと閉まってるか確認後、職員室に鍵を返却。
ゴミ捨て場に向かう。
.
ゴミを入れるボックスにパンパンにゴミ袋が詰まっていて蓋が閉まっていない。
少し押し込めばまだ入りそうだったから身を乗り出して押し込む。
治「…大丈夫ですか?」
背後からぬっと大きい影が私に被さる。
「…あ、すみません。ゴミ、預かります」
驚いて振り返ると、男子バレー部で有名な宮治だった。
治「え、いや、ええよ」
「いえ、ほんと、大丈夫なんで」
治「俺んのちょっと重いし。女の子にこんな事させられへんわ」
「…や、あの…」
治「なんや偉い頑固やな。男に任しとき」
「…ありがとうございます」
治「ええよ」
治さんに軽く会釈をしてその場を離れる。
初めて近くで見たけどすっごくでかいな…。
あんまり詳しくはないけど稲荷崎高校のバレー部はすごく強く、その中でも宮兄弟はファンも多いらしい。
確かに顔は整っているし、身長も高くてかっこいい。
教室の端っこで静かに本を読んでいるような私とは無縁の人って感じだ。
今日も気疲れした。
私はただゆっくり本が読みたいだけなのに。
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チハル(プロフ) - 続きお願いします! (9月20日 20時) (レス) id: c51717b503 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ツクモ | 作成日時:2022年2月2日 21時