あいつの名前は、 ページ7
『ダメです、』
『ダメですよ』
『そんなことやっちゃダメです』
____ダメです。
あいつの、口癖。
今すぐ飛び出して確かめに行きたいはずなのに体が硬直したように動かない。心臓はどくどくとけたたましく鳴り、汗がじわりと染み出す。
(…見つけた)
(手紙の女、やっと、)
(確かめねーと、なんで俺に手紙出したって……)
待て。
やっと意を決して立ち上がろうとした所でピタリ、と動きが止まる。
(……聞いたところでどうする？
相手が俺を好きかどうかも分からない。
つーか、まずそいつじゃなかったら、)
否定的な考え方ばっかり頭の中を駆け回り、ついには立ち上がった腰も椅子に戻ってしまった。
先程までどくどくとうるさかった心臓は、今は妙に静かで、じわり、と溢れ出した汗がつぅ、と揉み上げをなぞった。
「あーーッ！あたしのさい、ふ……ッ、！？」
「ッ、！？」
突然上から降ってきたドデカい声に肩がびく、と震えた。山口とやらが気づいたようだ。
俺が財布を持っているということを見つけて少し顔が歪み、後ずさる。
(チッ、こっちは親切心だっつーの、)
大方、俺が盗んだとでも思ったのだろう、だが俺はそんなことはしない。何故なら内申に響くから。
「オ"ラ、てめー財布忘れてんじゃねーよ、アホか」
「えっ、ぉ、あ、」
そう言って渡しながらも俺の視線は1人の女に注がれる。
肩にかかるほどの短い赤い髪。
それと同じ色の赤い目。
透き通るような白い肌。
小さな身体。
あいつの、名前は、
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みうし(プロフ) - めっっっっちゃ好きです……………何故もっと早く当作品と出会わなかったのだろうと後悔しております。手紙の主を漸く発見した彼が、大嫌いな幼馴染に嫉妬してしまうシーンなんか本当に大好きで何回も読み直してしまいました。続編めちゃくちゃ楽しみにしています！！ (2020年3月6日 22時) (
レス) id: f1ae5cae79 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ツカ鶴 | 作成日時：2020年1月19日 20時
