山口って、誰だ ページ5
今日は購買の飯だ。
人がぞろぞろと並ぶ最後尾に並ぶ。カッチャン何食べる？という指長の言葉は無視した。
(クソ、今日は早く飯食って他のクラス見に行こうかと思ってたのによ…)
「チッ！」
思わず盛大に舌打ちをしてしまった。周りの奴らがザワザワとはけていくのを感じ、気づけば順番は次になっていた。
「おーカッチャンすげー、俺ら最後尾だったのに次になったぜ」
「それ狙って舌打ちした訳じゃねーわ死ねクソ」
「今日も安定に口悪ぅ」
「うっせ、つーかてめーナチュラルに煙草吸おうとしてんじゃねーよ内心に響くだろーが」
「そしてみみっちい」
「あ"ぁん！？」
「おードードー、ほら、勝己順番来たぜ」
一丁前に煽ってくる刈り上げの頭をスパァンッと叩きながらケースの前に立つ。ニコニコとするババアの、いらっしゃい、何にする？という言葉を華麗にスルーし、目的の物を指した。
「あら、またそれかい爆豪くん、辛くないのかい？」
「こんなんまだ甘ぇわ、改良してこいや」
「はいはい、改良してきますよ、…はい、120円ちょうどね」
「おばーちゃん俺メロンパーン」
「はいはいちょいと待ってね、はい、メロンパン、150円だよ」
「はーい」
「はい、ありがとうございました、」
「来週も来るからもっと辛くしとけやクソ」
「相変わらず口が悪いわねぇ………、あら？」
「あ"？」
「これ、……っあ、前の子のかしら、お財布」
「知らねーよ」
「ちょいと届けてくれないかね爆豪くん」
「なんで名指しなんだよクソババア」
「あんたの為にあんなカレーパン作ってるんだからそれくらいしてくれたっていいじゃないの」
「チ"ッッ！！」
「ありがとうねぇ、」
なんともめんどくさい依頼を受けてしまった。
流石にいじめっ子の俺でも老人1人蔑ろにするようなアホじゃねぇ。一応ヒーロー志望だしな。
そんなことより、財布忘れるって…それこそアホか。ピンクの生地に、猫のマークが入っている長財布を見つめる。前の奴っつったって、覚えてねぇわンなの。
「それ、あれじゃね？山口さんのじゃね？」
「あー！そうじゃんそうじゃん！なんか皆ちっちぇー財布なのに1人だけ長財布だったよな」
「……」
「…あれ？勝己もしかして、」
「…山口って誰だ」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 14人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
みうし(プロフ) - めっっっっちゃ好きです……………何故もっと早く当作品と出会わなかったのだろうと後悔しております。手紙の主を漸く発見した彼が、大嫌いな幼馴染に嫉妬してしまうシーンなんか本当に大好きで何回も読み直してしまいました。続編めちゃくちゃ楽しみにしています！！ (2020年3月6日 22時) (
レス) id: f1ae5cae79 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ツカ鶴 | 作成日時：2020年1月19日 20時
