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「蜜璃姉さん、私、鬼殺隊に入りたいです。」



いつも通りに二人で食卓を囲っていた時だった。突然、Aが鬼殺隊に入りたいと言い出した。

恋柱様は思わず持っていた箸をぽろりと落としてしまった。

それは、二つの感情が入り交じり、どうすれば良いのかわからなかったから。


一つ目は喜び。
自分から何かを頼んだり決めたりすることが一切なかったAが、自分の意思を持った。その意志をきちんと伝えてくれた。

妹の自我の表れを目の当たりにして、嬉しくて嬉しくて仕方がなかった。


二つ目は、動揺。
鬼殺隊とは即ち死と隣り合わせ。大切な妹にだからこそ、そのような危険な戦場に赴いてなど欲しくなかった。

それにAには一人の女の子として幸せになって貰いたい、というのが恋柱様の願いだった。
いつか素敵な殿方をみつけて、この屋敷から巣立って幸せな家庭を築いて欲しい。そんな思いが強くあった。



「…私は、反対よ。Aが危険に侵されるなんて嫌なの。Aには幸せになって欲しいのよ。」



恋柱様は神妙な面持ちでAにそう言った。
大切な大切な妹。危険になんて晒したくない。


しかしあの真っ直ぐすぎる恋柱様に育てられたAだ。ちょっとやそっとで折れるくらいの脆い決意ではなかった。



「それだとまるで、私が今幸せじゃないみたいじゃないですか。私はすっごく幸せです。蜜璃姉さんと出会えて。伊黒さんとも出会えて。幸せすぎて怖いくらいです。

それに姉さんは常に危険と隣り合わせなのに私だけ悠々と暮らしていくなんて、嫌。少しでも姉さんに近づきたい。姉さんと同じ陽の元を歩きたい。誰かの幸せを守りたい。

姉さんのことを守れるだけの強さが欲しい。」



真っ直ぐ、決意の固まった瞳で見つめられて、とうとう蜜璃は涙を流してしまった。
悲しみの涙ではない。妹の人としての成長への喜びの涙だ。

___ああ、この子は。いつの間にかこんなにも立派になっていたのね。



「ありがとう、ありがとうA…。流石私の妹だわ…。
私もAと出会えてとっても幸せよ。」



恋柱様はAをぎゅーっと抱き締めた。Aも恋柱様を抱き締め返す。
Aの瞳にもうっすらと涙が滲んでいた。



___二人で共に生きましょう。一緒に沢山のことを乗り越えて生きましょう。
だって私達。この世界で一番の姉妹ですもの。

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hikari - この作品、めちゃくちゃ面白いです! (2022年4月24日 19時) (レス) id: 65eb06c570 (このIDを非表示/違反報告)
美咲 - もし作ることができれば、『<番外編>』を、作ってほしいです。 できますか? (2022年4月7日 17時) (レス) id: 65eb06c570 (このIDを非表示/違反報告)
若菜 - 見ていて、悲しくなって、泣きそうになりました。素晴らしい作品ですね。 (2022年3月13日 15時) (レス) id: 65eb06c570 (このIDを非表示/違反報告)
琴音 - 切ないところもあったけれど、キュンキュンしました!ありがとうございました🙇 (2022年3月12日 17時) (レス) id: 65eb06c570 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうな(プロフ) - コメント失礼いたします。とても切なく、それでもあったかいお話で感動しました。同時に、このお話の夢主目線のお話も見てみたいなと思いました。もしお時間があり、いいなと思っていただけたらそんなお話も作っていただけたら幸いです。 (2020年11月3日 21時) (レス) id: 51a3f09150 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:白霞 | 作成日時:2020年5月30日 19時

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