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「……っ」



意識が朦朧とする。夢と(うつつ)の境界に私はいるのだろう。
このまま眠っていたいけど、そろそろ起きなくちゃ。

そう思い何とか重い瞼を開くと、まず一番に青と水色の蝶々が目に止まった。
私の視線に気がつくと、二つに結われた青みがかった黒髪が揺れた。



「カナヲ。目が覚めたのね。」

「アオイ…」

「食欲はある?お粥作ったから食べれそうだったら食べて。」



寝起きで覚醒しきらない上半身を起こした。身体が重い。どれくらい眠っていたのだろう。

夢現な私にアオイは小さな土鍋を差し出した。
蓋を開けるとふわりと卵粥の香りが私の鼻腔を掠めた。アオイが作ったご飯は全部美味しくて優しい香り。

お腹がきゅるると鳴った。ちょっとだけ恥ずかしかったけどアオイはふふっ、と微笑んで沢山食べて、お代わりもあるから。と言ってくれた。


窓の外を見るともう蜂蜜が垂れたような黄金の空だった。眠ってしまったからそう言えばお昼ご飯、食べてない。



「腹が減っては戦ができぬ、でしょ?食べて力をつけなきゃ。」



アオイは私にスプーンを渡してそう言った。
私はそれを受け取ると手を合わせてお粥を掬った。

一口食べると水をたっぷり含んだ柔らかいお米の甘さと卵の舌触りが絶妙で思わず頬が緩んでしまう。

一口、また一口とどんどん口に運んでしまった。
優しい味。我が家の味。


そしてペロリと完食してお鍋に蓋をした。そして再び手を合わせた。



「美味しかった。」

「良かった。お代わりはいる?」

「今沢山食べちゃうと晩ご飯が食べれなくなっちゃう。」

「ふふ、それもそうね。」

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hikari - この作品、めちゃくちゃ面白いです! (2022年4月24日 19時) (レス) id: 65eb06c570 (このIDを非表示/違反報告)
美咲 - もし作ることができれば、『<番外編>』を、作ってほしいです。 できますか? (2022年4月7日 17時) (レス) id: 65eb06c570 (このIDを非表示/違反報告)
若菜 - 見ていて、悲しくなって、泣きそうになりました。素晴らしい作品ですね。 (2022年3月13日 15時) (レス) id: 65eb06c570 (このIDを非表示/違反報告)
琴音 - 切ないところもあったけれど、キュンキュンしました!ありがとうございました🙇 (2022年3月12日 17時) (レス) id: 65eb06c570 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうな(プロフ) - コメント失礼いたします。とても切なく、それでもあったかいお話で感動しました。同時に、このお話の夢主目線のお話も見てみたいなと思いました。もしお時間があり、いいなと思っていただけたらそんなお話も作っていただけたら幸いです。 (2020年11月3日 21時) (レス) id: 51a3f09150 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:白霞 | 作成日時:2020年5月30日 19時

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