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勢いで連れて来てしまった…。
恋柱様は頭を抱えた。どうしよう、この先のことなんて考えてなかった…。

ちらりと抱き抱える少女を一瞥する。

本当に本当に不思議そうな表情をしていた。ただなされるがままという雰囲気で、反応のひとつすら見せない。それどころか顔色ひとつ変えることはない。

まるで、心が壊れてしまったみたいに。


心優しい恋柱様はこの子をこのままにしておくだなんてできるわけがなかった。
そして少女をそのまま自分の妹として引き取ることを決意した。


























少女には名前すらなかった。だから恋柱様が一生懸命考えた。蛇柱様も一緒に考えてくれた。



「姓はやはり甘露寺が良いんじゃないか?」

「そうかしら…!同じ苗字だなんて照れるけどとっても嬉しいわ!
あとね伊黒さん!この子の名前、考えてみたの。“A”、なんてどうかしら?」



恋柱様はAの髪をとかしながら愛おしそうに蛇柱様にそう言った。

少女は恋柱様に引き取られてからすぐにお風呂に入れられ髪を切りそろえられた。
すると摩訶不思議。それはそれは綺麗な少女じゃありませんか。

恋柱様は少女の艶やかな漆の髪と牡丹のような透明感のある、まるで本物の宝石のような紫紅色の瞳がとても綺麗な少女だった。


恋柱様はとっても綺麗で可愛いわ!と少女を沢山褒めた。しかし少女は不思議そうに恋柱様を見つめるだけ。何か反応を返すことはなかった。



そんな少女への、これから一緒に暮らしていく妹への初めての贈り物。
A。この可憐な少女にぴったりな優しい名前。



「良いと思うぞ。甘露寺のつけた名前ならきっとこいつも喜ぶだろう。」



蛇柱様が優しい瞳でそう言うとじゃあ決まりね!と恋柱様はAと名付けられた少女を抱き締めた。

蛇柱様は恋柱様に抱き締められるAを羨ましそうに見つめていた。


とあるしんしんと雪の降る日の出来事。

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hikari - この作品、めちゃくちゃ面白いです! (2022年4月24日 19時) (レス) id: 65eb06c570 (このIDを非表示/違反報告)
美咲 - もし作ることができれば、『<番外編>』を、作ってほしいです。 できますか? (2022年4月7日 17時) (レス) id: 65eb06c570 (このIDを非表示/違反報告)
若菜 - 見ていて、悲しくなって、泣きそうになりました。素晴らしい作品ですね。 (2022年3月13日 15時) (レス) id: 65eb06c570 (このIDを非表示/違反報告)
琴音 - 切ないところもあったけれど、キュンキュンしました!ありがとうございました🙇 (2022年3月12日 17時) (レス) id: 65eb06c570 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうな(プロフ) - コメント失礼いたします。とても切なく、それでもあったかいお話で感動しました。同時に、このお話の夢主目線のお話も見てみたいなと思いました。もしお時間があり、いいなと思っていただけたらそんなお話も作っていただけたら幸いです。 (2020年11月3日 21時) (レス) id: 51a3f09150 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:白霞 | 作成日時:2020年5月30日 19時

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