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「アオイさんの代わりに俺達が行く！」
その言葉を掛け声としたように、音柱様の左右から黄と橙の鱗文の羽織と猪頭が現れた。
善逸と伊之助だ。
伊之助は柱相手に上から目線で、行ってやっても良いぜなんて言っている。
善逸はガクガク恐怖で震えながらもアオイの解放を求め、一歩も引かないと宣言した。
私の方がアオイと長い時間いるのに。私の方がアオイと親しいのに。
家族の私は何もできず、四人がアオイの為に立ちはだかる。
常々自分の無力さを痛感させられた。
伊之助と善逸の登場に音柱様の顔は険しいものとなる。空気がビリビリとして凍てつくように冷たい。
しかしやけにあっさりと、音柱様はこう告げた。
「……あっそォ。じゃあ一緒に来て頂こうかね。ただし絶対に俺に逆らうなよお前ら。」
そしてアオイを後ろから鼓のように叩くとぽいっと屋根から放り投げた。
「っアオイ！」
放り投げられたアオイをAが抱き留める。
大丈夫？怪我してない？と不安げにアオイに問うAに涙目のアオイはありがとうぅと抱き着いた。
それからなほ達ともわーんと一緒に音柱様から生還できたことに抱き締めあって涙を零した。
「おい、甘露寺の継子。」
「私も甘露寺です！」
「紛らわしいなぁ…」
頭をぽりぽりとかくと音柱様はひょいっとAの襟元を掴んで宙に浮かせた。
「え、ちょ、音柱様？」
「来てくれるんだろぉ？そいつの代わりに。
お前が自分から行くと宣言したんだから甘露寺に許可は取らなくても良いか。」
「え、ええ！行ってやりますよ！恋柱の継子の名にかけて！行きますので放して貰えませんか？」
おお、悪い悪いとAを地面に降ろす音柱様。
炭治郎がA、大丈夫か？と声を掛けて手を差し出す。
ありがとう、と言ってAは炭治郎の手を取る。
ずきり。胸に突き刺さるような痛みを感じた。
二人が話しているところを見るだけで胸が苦しい。握り合った手を見るだけでどうにかなってしまいそう。今すぐにでも逃げ出したい。
でも私がこの場を去るよりも先に音柱様に連れられて四人はその場を後にした。
＿＿＿二人の右手と左手は、繋がれたままだった。
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hikari - この作品、めちゃくちゃ面白いです！ (2022年4月24日 19時) (
レス) id: 65eb06c570 (このIDを非表示/違反報告)
美咲 - もし作ることができれば、『＜番外編＞』を、作ってほしいです。 できますか？ (2022年4月7日 17時) (レス) id: 65eb06c570 (このIDを非表示/違反報告)
若菜 - 見ていて、悲しくなって、泣きそうになりました。素晴らしい作品ですね。 (2022年3月13日 15時) (レス) id: 65eb06c570 (このIDを非表示/違反報告)
琴音 - 切ないところもあったけれど、キュンキュンしました！ありがとうございました🙇 (2022年3月12日 17時) (レス) id: 65eb06c570 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうな(プロフ) - コメント失礼いたします。とても切なく、それでもあったかいお話で感動しました。同時に、このお話の夢主目線のお話も見てみたいなと思いました。もしお時間があり、いいなと思っていただけたらそんなお話も作っていただけたら幸いです。 (2020年11月3日 21時) (レス) id: 51a3f09150 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：白霞
| 作成日時：2020年5月30日 19時
