【ヒロアカ×コドブレ】英雄と悪の交奏曲《リメイク》 (ページ5)

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マ『ハイ、スタート!』

その時、何の前触れもなくマイクの試験開始の声が響く。
誰もが一瞬立ち尽くす。だが、Aだけは波乗りの要領で会場に突入していった。

轟「ッ!お前、分かってたのかよ!?」
貴「実戦は『よーいドン!』で始まるものじゃありませんから!今回は試験だから合図はありましたが、カウントくらいは省くと思ってましたよ!」

轟を始めとした大勢を置き去りにしながら、Aは進む。
そして、敵を見付けると、試験管の中に入れた水をばら撒いた。

貴「――水蓮華」

直後、水は花開くように周囲に飛び、何体かの敵を切り裂く。

貴(分かっちゃいたけど、歯応えないなー。人間相手の方がよっぽど苦労するよ)

その後も次々と敵を屠りながら、他の受験者も見ていく。
殆どがまぁまぁといったところだが、やはり同じ推薦者の轟は圧倒的だ。Aとほぼ変わらぬ勢いで、敵を破壊している。

貴(氷の個性…。溶かせはするけど、相性としては悪いかな?雪比奈の例もあるし)

水温も操れるAは、氷系の能力も然程脅威ではない。だが、彼女が知る『水の三態』を操る異能者相手には、あまり有効打を与えられないでいる。
練習相手にでもなってもらうか…、と適当な事を考えながら、Aは次々に敵を沈めていく。

「う、うわぁああッ!?」

そんな時、何処からか悲鳴が聞こえた。
そちらを見ると、0Pの超巨大敵が暴れており、それによって出来た瓦礫が一人の受験者に迫っていた。
だが、Aは何も見なかったように踵を返す。

貴(悪いね。悪は安易に人を助けたりしないし、助けを求めないんだ。どんな脅威だろうと、自分の力だけで…)

あれ?とそこでAは違和感を覚えた。

貴(悪は…?だったら、ヒーローは?)

今の自分は、ヒーロー科の受験者。ならば、ヒーローに相応しい行動を取るべきだろう。
悪とは対極である彼等が、この場で取る行動と言えば?

貴「…なーるほど」

何かに気付き、口角を吊り上げるA。
直後に先程の受験者の前に水を展開し、クッション代わりにして瓦礫を防いだ。

「え…?」
貴「呆けてる暇があるなら、早く試験に戻った方が良いですよ」
「あ、コレお前のか?マジサンキュー!」
貴「お構い無く」

そう言って相手を送り出しながら、Aは内心ほくそ笑んだ。

貴(ヒーローの根幹は人助け。敵を倒すのは助ける為の手段の一つに過ぎない。だったら、これも点数入るよね?)

敵を倒しつつ、人助けもし、Aは着実にポイントを稼いでいった。