真実を知るべからず

2話 ページ2

明石国行が顕現されたのは、肥後国のある女性審神者が務めていた本丸だった

『どうも、すいまっせん。明石国行言います
どうぞ、よろしゅう。いちおー、自分、来派の祖の出なんですけどなぁ
基本、なーんもやる気せーへんので。まっ、お手柔らかに?』
「初めまして、私はここで審神者をしている『桜』と申します。よろしくお願いします」

桜は微笑みながら、明石に自己紹介をした
その光景は誰もが見ても、普通だと思うだろう
しかし、自己紹介された明石本人は、桜に対して違和感を持った

(なんか、この人の笑みは胡散臭いなぁ…)

とは言え、相手は一応これから主となる人物
明石は自分の心内を悟られぬ様、振る舞った

『なぁ、蛍、国俊。主はんってどないな人なん?』

その日の夜、同部屋となった蛍丸と国俊に明石は桜がどんな人物なのか聞いた
今日一日、桜を観察していたが、普通に良い人間であり、刀剣を第一に考えている事はわかっていた
だが、初めてあった時のあの笑みの違和感が無くなることは無かった

蛍「どんな人って、良い人だよね?」
愛「ああ。俺達の事を第一に考えてくれてるし」
『ふぅん…』

ただの気のせいなのだろうか。しかし、2人の意見を聞いても違和感は無くならない
その状態のまま、ずるずると生活をしていたある日、桜に命じられ近侍として政府に行く事になった

『なんで自分が近侍なん…。いつも長谷部はんが近侍やっとるやん』
桜「長谷部はいつも働き過ぎだからお休みよ。明石はもう少し働いて」
(……はい?)

ここで、明石は初めて会った日の違和感がわかった様な気がした
実は、明石は他の本丸に居る明石と比べ特殊であり、内番をサボる事が無く、寧ろ自ら率先してやる
また、本丸に燭台切光忠と歌仙兼定が居ない為、食事当番は明石が担当していた

(まさか…この人…)

明石に、嫌な考えが頭を過る
桜はデータとして上がっている刀剣の性格しか知らないのでは無いだろうか
刀剣の性格のデータはデータ。同じ刀剣でも、本丸によって少しずつ性格が違ってくるものだ
それを知らないと言う事は、桜は刀剣をただの動く道具としか捉えていないのでは無いだろうか、と

役人「刀剣の入場はここまでです。待合室でお待ち下さい」
『(ﾊｯ あ、そうなん?じゃ、主はん。また後で』
桜「うん、また後で」

いつの間に会議室前まで来ていたのか、役人の声によって明石は我に返り、桜と一旦別れる
そして、役人にある事を聞いた

『…役人はん、待合室にPCとかってある?』

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