二度目まして、ヒーロー!【ヒロアカ二次創作】 (ページ6)

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【6】そこにいるのは、あるのはページ6

自分で作った作品に自分の体液を与えることで、現実に呼び出す……
それが、“芸術”。私とこの子の個性だった。

ちなみに作品は彫刻でも縫い物でも何でもアリで、体液もまた唾液でも血液でも何でもアリだそうだ。
……血液と聞いて襖の向こうを思いだしてしまって顔がひきつったのは許してほしい。

「ほらよくあるだろ？魂こめて作った芸術作品にはなんかが宿る、みたいな。アレだ」
『アバウトかよ……実はぱんセンも私の個性で呼び出されてるとかある？』
「あるな、大正解だ。」

　ずっと聞くタイミング逃してた最大の謎“そもそもお前誰だよ”がやっと解明された瞬間である。
　……この猫もぱんセンみたいに喋んのかな……？やだなこんなメルヘン投げ捨てたような口調で喋られたら……

「なんか失礼なこと考えてんじゃねえだろうな？」
『ん゛っっ』

　だから目が怖いと何度言えば。私が悪うござーした。

「言っとくが、これから個性で呼び出す作品たちが今の俺みたいにはっきりした自我を持つことはそうそうねえはずだぞ」
『えっそうなの』

　ならやっぱりこの猫は喋らないのか……そう言われると少し残念。ここから甲高い奇声でもあがろうもんなら腹抱えて笑うのに…あっひっくり返った。かわいいなこの猫。

「まあ、これからいろいろ試してみるといい。こんな猫モドキ描いちゃあいるが、お前さん、芸術はけっこう好きだろ」

なんで知ってるんだ。というかモドキとはなんだモドキとは。

『女の勘？』
「見ればわかる。あと俺はオスの設定だ。
……いいタイミングだな。さて、そろそろか」
『は？』

なんだこいつ急にバトル漫画みたいなこと言い出したぞ。思いっきり素の声出たわ。

……うすうす勘付いちゃいたけど、

「警察が来た。この家は表向きにはちゃんとしてたから、おおかた近所から通報されたんだろ。
だから、もうじきお前さんは保護される」

当たって欲しくは、なかったなあ。

──ピンポーン

どこにでもあるチャイムの音が響く。

『……そっか、行く手間が省けたや』

だんだんと乱雑なノックの音が聞こえ始めた。うるさいな。

「そうだな、楽でけっこうだ。俺は怪しまれそうだし、しばらく黙るから後は頑張れよ」

……。

『ん、頑張る』

ドアの開閉音が２回。
バタバタと騒がしい足音、息を飲む音、
────こちらに近寄る、響かない足音。

それはもう、すぐそこにあった。

「────」