なんでも屋【雪男】 (ページ33)

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side:you

寒い

暗い

痛い

寂しい

今思えばずっとそんな人生だった

親には虐待の挙句捨てられ、

見た目の物珍しさからオークションに賭けられ

逃げ出しても生きる術はわからず途方に暮れる。

また捕まりそうになった時に助けられたかと思いきやどこかの組織に連れていかれた。

その中で唯一学んだ生きる術は"殺し"

仕事をこなす度に褒められ、階級は上がった

けど同時に私の心の穴は広がっていった

なぜ今こんな事をしているのかが分からない

そう思っていると目の前に私と同じような子がいた。

見た目は綺麗だけど着ているものはボロボロになったただの布切れのようで

私と同じでオークションに賭けられている

この場にいるだけで嫌悪感や吐き気がする。

もう何かに縛られるのが嫌で、会場内にいる人間を全員殺した。

ただ1人を覗いて

？「…誰」

「ユキ。君は誰」

深澤「…深澤」

「名前は？」

深澤「そんなの無い」

「…ねぇ君さ、私と一緒に自由になってみない」

深澤「自由…」

「私はもうやめる。縛られたくない、操り人形なんかじゃない。自由になりたい」

深澤「…俺も、自由になりたい」

そこから話は早かった。

オークション会場は小さかったから燃やして、以前仕事中に見つけた隠れ家に行き、これからどう生きるか話した。

生きるにはまず金が必要だ

自分たちが賭けられたように金は生きる上で必ず必要なものになってくると、仕事は必須ということ。

そこから前の職場が上の指示に従って仕事をこなしていたから、その下位互換みたいな仕事にして稼ごうとなった。

「じゃあ色んな意味で"なんでも屋"ってことで」

深澤「そうだね」

「ねぇ、お互いにさ、名前付けない？」

深澤「名前？てかユキはユキって名前があるじゃん」

「これ勝手に付けられた名前だし、好きじゃない」

深澤「ふーん。俺も苗字だし、名前無いと不便か」

「…辰哉は？今年辰年だし」

辰哉「いいけど安直過ぎだろw」

「ここで悩んでどうするの」

辰哉「確かにな、じゃあユキはAね」

「なんで？」

辰哉「オークションに賭けられる前にテレビで見た名前だから」

「まぁいいよ、ユキじゃなかったらなんでもいい」

辰哉「じゃあお互いに"深澤"と"ユキ"って名前は封印な、今日からは辰哉とAだから」

そうして今の生活が始まった。