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外には、とても大きな建物があった。
不思議なことにここには人が全くと言っていいほどいなかった。どこも真っ白な外見は無機質さを醸し出し、少し不気味にも思えてくる。
建物の入り口の上には『モストロ研究所』と書かれていた。漢字が読めないな、なんて読むんだろう。

「車から降りろ。」

僕の方を見ずにパパが言い放った。言葉に反して僕の身体はギクッと硬直した。口からは「ぇ?」と間抜けな音が出る。
即座に反応できなかった僕にイラつき、パパの足は小刻みに上下し始めた。もう一度、叫ぶように言葉を放たれる。

「さっさと降りろ!!!」
「は、はぃっ!」

なんで僕を降りさせるんだろう?なんで僕だけ?ママとパパは?
頭の中は疑問でいっぱいになっているが、早く降りないとまた痛いのがとんでくると思いシートベルトをガチャガチャと外しにかかる。
焦りに焦った小さな手は上手く外せなくて、身体中に嫌な汗をかいた。
ようやくシートベルトから解放されると、車の中から逃げ出すように飛び降りた。上手く着地できずに地面に膝と手をつく。アスファルトは氷のように冷たい。
急いで立ち上がり、バタン!とドアを閉めると、車はここから逃げ出すように走り去ってしまった。
真冬の夜、外には僕一人だ。

「……え……?」

冷たく張り詰めた空気は僕の口から放たれた音を吸収し、無音の世界を創った。




どれくらい時間が経ったんだろう。
僕は白い建物の前で自分の足を抱え座っていた。寒いなあ。
幼い頭でもなんとなく分かった。
僕は捨てられたんだ。僕はここで死ぬのかなぁ。
実感が湧かなかった。死ぬって、どんな感じなんだろう。痛いのかな、苦しいのかな、寒いのかな。しんしんと降ってくる雪が顔に落ちて冷たい。僕は胴体と足の間に顔を埋めた。歯はカタカタと震えているし、さっきから鳥肌が立ちっぱなしだ。僕の体を包む冷たい空気は皮膚を容赦なく刺してくる。痛い。痛い。痛い。
耳鳴りがひどい。キーンという音が不快で、痛くて、苦しくて。死にたい。つらい。つらい。つらい…!!!!

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作品ジャンル:SF
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ななっちー(プロフ) - このお話がとても大好きです。設定もファンタジーで過去があるのが最高です。更新楽しみに待ってます。 (2020年3月30日 23時) (レス) id: c8d03dec19 (このIDを非表示/違反報告)
はるか(プロフ) - はてなブログもこの小説も読ませていただきました。とっても面白いです。続きが気になります。更新大変だと思いますが頑張ってください! (2020年3月9日 21時) (レス) id: 85db3be13b (このIDを非表示/違反報告)
るん(プロフ) - この小説が大好きです。毎回の更新が楽しみでしょうがないです。大変だと思いますが、微力ながら応援させていただきます。 (2020年3月9日 1時) (レス) id: e59357a333 (このIDを非表示/違反報告)
みーさ - 教えてくださいありがとうございます! (2020年2月26日 6時) (レス) id: 890bcd117e (このIDを非表示/違反報告)
みーさ - 元のはてなブログを見たいのですが、探し方を教えて下さい (2020年2月24日 7時) (レス) id: 890bcd117e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ああああ | 作成日時:2020年2月17日 23時

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