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何か、身体をガッチリ固定されているような違和感を覚えて、目を開ける。
ぼんやりとくもっている視界で捉えられるのは、白い天井だ。
どうやら、固定されているのは下半身だけのようで、ふかふかのベッドに肘をついて上半身を起こす。
布団をめくると、足がなかった。
足がない代わりに、腰から木の根のようなものが生えていた。
木の根はベッドの支柱に巻きついているようで、びくともしない。
「うわあぁッッ!?」
急いで飛び起きる。
一瞬混乱したが、どうやら夢だったようだ。
夢とは思えない、妙な生々しさが後を引きずっていた。
心臓はいつもより速く鼓動し、全身にびっしょりと汗をかいていた。頭もズキズキ痛む。
念の為布団をめくってみると、そこにはちゃんと自分の足があった。
安心するように長い息を吐く。
ふと、床を見てみると、色とりどりの花がばらまかれていた。
誰がやったんだ?今まで花なんて持ち込んだこともないしもらった記憶もない。
俺は不思議に思いながら、ベッドから降りて全ての花を回収した。
そのままゴミ箱に捨てようかと思ったが、せっかくの綺麗な花だ。
なんだか捨てるのも嫌な気がして、ティッシュで根元をつつみ、まとめて机の上に置いた。
あとでスタッフの人に花瓶をもらおう。
俺は大きく伸びをした。
実験に参加して1週間が経った。
最初は、初めての環境での生活にちょっと落ち着かなかったけれど、慣れていくと快適な環境でしかなかった。
こんなに楽して100万も稼げるなんて世の中捨てたもんじゃないなぁと悠々自適に暮らしていた。
しかし、なんだかこのところ体調が悪い。身体の節々がじくじくと痛むのだ。今日のような悪夢を見ることも少なくない。むしろどんどん頻度が増している気がする。
ここでの生活が始まってから、体調管理の面を考慮して日誌のようなものをつけるようにと言われ、そこに症状を記入すると翌日鎮痛剤が支給されたが、飲んでもたいした効果はなかった。
こんなに良くしてもらってる手前、文句は簡単に言えなかったし、そう思い悩んでいるうちに痛みのあまり気絶のように眠ることも多々あった。
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ななっちー(プロフ) - このお話がとても大好きです。設定もファンタジーで過去があるのが最高です。更新楽しみに待ってます。 (2020年3月30日 23時) (レス) id: c8d03dec19 (このIDを非表示/違反報告)
はるか(プロフ) - はてなブログもこの小説も読ませていただきました。とっても面白いです。続きが気になります。更新大変だと思いますが頑張ってください! (2020年3月9日 21時) (レス) id: 85db3be13b (このIDを非表示/違反報告)
るん(プロフ) - この小説が大好きです。毎回の更新が楽しみでしょうがないです。大変だと思いますが、微力ながら応援させていただきます。 (2020年3月9日 1時) (レス) id: e59357a333 (このIDを非表示/違反報告)
みーさ - 教えてくださいありがとうございます! (2020年2月26日 6時) (レス) id: 890bcd117e (このIDを非表示/違反報告)
みーさ - 元のはてなブログを見たいのですが、探し方を教えて下さい (2020年2月24日 7時) (レス) id: 890bcd117e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ああああ | 作成日時:2020年2月17日 23時