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予想外の言葉に、思わず反論してしまった。
「即日高額報酬」と記されていたので、てっきり日給アルバイトかと思ったら、ガッツリ1ヶ月ほど要するらしい。
そんな、話が違う。
今日お金を貰えなかったら、死んでしまうかもしれないという瀬戸際に立ってるのに。
すると、研究員の男は冷静に説明する。
「実験に協力していただいたお礼ということでその日に前金としていくらかお支払いします。実験終了後にはきちんとした報酬も用意しています。」
その言葉を聞いてほっと安堵する。
よかった。とりあえず今日明日は破滅から免れそうだ。
俺は興味本位で尋ねる。
「その前金って、いくらくらいなんですか?」
「10万円です。」
一瞬、頭が思考停止する。
前金だけで、10万円?
そんなの、1週間以上大丈夫じゃないか。
心の中で狂喜乱舞した。
今までピンと張り詰めていた緊張の糸がほぐれ、一気に肩の力が抜ける。
思わず顔がにやけそうになったが、急いで取り繕い、またもや興味本位で聞いてみた。
「そ、それで、実験が終わったあとの、報酬額は、い、いくら、で…?」
「前金が報酬の10分の1なので、100万円です。」
「ひゃ、ひゃっひゃくまんえん!?」
後頭部をガツンと殴られたような衝撃が襲ってくる。
実験に協力しただけで100万円……!?
1ヶ月で100万円貰えるなんて、さらに怪しさが増すようなことだったけれど、やっぱりその時ひどく疲れていたんだろう、俺はそれをあっさりと信じ込んだ。
目の前の男が「実験の危険性」だとか「命を失う可能性」についてだとか説明し始めたけど、右から左へと抜けていった。
危険だろうが死ぬかもしれなかろうが関係ない。
とにかく100万円手に入るんだ。
100万円手に入ったら当分困ることもない。
その事実だけで万々歳だった。
そして、男から差し出された誓約書に考える間もなくサインした。
「ありがとうございます。では、これから埋め込み手術を行いますので、こちらの部屋へお入りください。」
そして、俺は手術室へ向かった。
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ななっちー(プロフ) - このお話がとても大好きです。設定もファンタジーで過去があるのが最高です。更新楽しみに待ってます。 (2020年3月30日 23時) (レス) id: c8d03dec19 (このIDを非表示/違反報告)
はるか(プロフ) - はてなブログもこの小説も読ませていただきました。とっても面白いです。続きが気になります。更新大変だと思いますが頑張ってください! (2020年3月9日 21時) (レス) id: 85db3be13b (このIDを非表示/違反報告)
るん(プロフ) - この小説が大好きです。毎回の更新が楽しみでしょうがないです。大変だと思いますが、微力ながら応援させていただきます。 (2020年3月9日 1時) (レス) id: e59357a333 (このIDを非表示/違反報告)
みーさ - 教えてくださいありがとうございます! (2020年2月26日 6時) (レス) id: 890bcd117e (このIDを非表示/違反報告)
みーさ - 元のはてなブログを見たいのですが、探し方を教えて下さい (2020年2月24日 7時) (レス) id: 890bcd117e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ああああ | 作成日時:2020年2月17日 23時