生命より大切な「金」 ページ13
「金が、ない………。」
「0」と記された通帳の項目が、逃れようのない現実を俺に叩きつけていた。
親父は限界まで膨れ上がった借金を置き土産に、俺が小学生の頃に蒸発した。
残された俺と母さんは、毎日来る借金取りに怯えながらボロいアパートの一室で貧しい暮らしをしていた。
お袋は借金を返済するために必死に朝から晩まで働いた。
俺は母さんのそんな姿を見て、悔しさでいっぱいだった。
なんで俺らがこんな惨めな思いをしないといけないんだ。俺らが一体何をしたっていうんだ。
1度だけ、母さんに八つ当たりのようにずっと思っていたことをぶちまけた。
すると、母さんはふにゃっと笑いながら「ごめんね。お母さん頑張るから。」と言われた。
俺はその返事に怒りを覚えたし、より悔しさも増した。
なんで母さんが謝るんだよ。なんで母さんが全部背負ってるんだよ。
高校に入ってから、部活も入らず勉強もせずひたすらアルバイトに明け暮れた。それこそ朝から晩まで。
家にいる時間が一気に無くなって、母さんと話す回数も会う回数も減った。
給料は全部母さんに渡した。
地頭が良かったようで、テストは毎回赤点ギリギリで難を逃れていた。
大学に入る気は一切なくて、すぐに就職する気でいた。
だけど、母さんはそれを頑として許さなかった。
「私のことは気にしなくていいから。」
それが母さんの口癖になった。
俺は根負けして、そこそこの大学に入った。
母さんは俺が大学に受かった直後、重い病気にかかってほぼ寝たきりの状態になってしまった。
大学に受かった後も、変わらずアルバイトに明け暮れた。
遊ぶ暇なんてなかった。大学も最低限しか行かなかったから、一緒に遊ぶ友達もろくにできなかった。
親父の借金に、母さんの医療費に、生活費。
毎日ギリギリの生活だった。
母さんと俺で、毎月ほんの少しだけでもと貯めていた貯金はジリジリと減り、今日ついに底をついてしまった。
給料日は1週間先だし、母さんの薬代も出せていない。
明らかに来ると分かっていた未来だったのに、こうも明確に突きつけられると信じたくなかった。
頭が痛い。体も鉛のように重く感じる。
重くなった足をなんとか動かし、銀行を後にした。
駅にある求人雑誌を手に取り、報酬のいい項目を探す。
『実験協力のお願いです。協力していただければ即日高額報酬をご提示します。』
そんな内容の項目が目にとまった。
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ななっちー(プロフ) - このお話がとても大好きです。設定もファンタジーで過去があるのが最高です。更新楽しみに待ってます。 (2020年3月30日 23時) (
レス) id: c8d03dec19 (このIDを非表示/違反報告)
はるか(プロフ) - はてなブログもこの小説も読ませていただきました。とっても面白いです。続きが気になります。更新大変だと思いますが頑張ってください！ (2020年3月9日 21時) (レス) id: 85db3be13b (このIDを非表示/違反報告)
るん(プロフ) - この小説が大好きです。毎回の更新が楽しみでしょうがないです。大変だと思いますが、微力ながら応援させていただきます。 (2020年3月9日 1時) (レス) id: e59357a333 (このIDを非表示/違反報告)
みーさ - 教えてくださいありがとうございます！ (2020年2月26日 6時) (レス) id: 890bcd117e (このIDを非表示/違反報告)
みーさ - 元のはてなブログを見たいのですが、探し方を教えて下さい (2020年2月24日 7時) (レス) id: 890bcd117e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ああああ | 作成日時：2020年2月17日 23時
