桃色kiss 【Y.C】

No.4 ページ4

むせ返るように暑くなったこの季節








でも、まだ桜は散ることは知らない春。







『ゆ...侑李？』







頭がおかしくなったんじゃないかって。








夏前なのに暑さにやられたのかも。









なんて馬鹿げた事を考えながら









目の前の現実に目をやる。









店の中で買い物をする









愛しいその手を取る。









『侑李...会いたかったよ！』









私は涙声で必死に叫んだ。









愛しい愛しい彼の名を。









でも、彼は顔色をひとつも変えず。









「おばさん...？誰？」









『...おばさん？』









涙が一瞬で引いていくのが分かった。








「あ、ごめんなさいね！







その子、最近変なんです...！」







バイトのおばちゃんが侑李に必死に謝りながら私を奥へと引っ張った。

No.5→←No.3

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す