三十四話 ページ9
もうA塔B塔間が閉まる頃。
｢しかし随分生き残ったな｣
映像にはキャプテンの姿が映った。よし、安否は確認できた。
恐らくキャプテンの向かうところとすれば、“あそこ”で間違いない。
私もただ馬鹿みたいにこの島に居座っていた訳じゃない。この施設の詳細は調べられる限り全て把握したつもりだ。
...私はどうしようか。
“あそこ”だとしても私がいたところであまり変わりはない。
ヴェルゴがどう動くかもまだ分からないが、海兵のことを言っていたからB塔に行っているはず。
いや、キャプテンのところへ向かおう。
そして私は扉へと体を向け一歩進んだ。
｢A、どこへ？｣
『この方々に興味が湧きましたので』
この部屋を出たらハートの海賊団とクルーとして目一杯働かせて貰おう。
｢オイオイ、まさかとは思うがA、俺を裏切るつもりじゃねェよな？｣
『私が信じられませんか？』
｢シュロロロ...悪かったな、頼んだぞA｣
頼んだぞ、ねェ。これから私はあなた達と敵対するんですけどね。
行くか。＿＿＿＿“D塔”へ
＿＿＿＿＿＿＿＿
D塔 SAD製造室前
部屋の前に話し声が3つ。
そして、私から見て左側から1つの気配。
＿＿＿もう見える。
｢んな事はどうでもいい！ヤツは裏切り者だ！｣
｢あ！Aさん！！裏切り者のトラファルガー・ローです！｣
｢＿＿＿＿ROOM｣
『＿＿＿＿
兵のヤツらは自分たちの状況に慌てている。
｢...｣
『キャプテン...』
｢何勝手に船長裏切ってんだ？｣
『キャプテンを信じて出た行動です。私の忠誠心はキャプテンには軽すぎましたか？』
少し怒っているようにも見えたが...
｢んなわけねェだろ、ただ...｣
『？』
｢もう...心配させるな｣
私はいつの間にか、キャプテンの腕の中だった。
その声は少し震えていた。
『私は大丈夫です。ハートの海賊団副船長を伊達にやってるわけじゃないんです』
｢...そうだな、
『もう2年前の私じゃありませんよ』
｢なら安心だ｣
そして私達の目線は扉へと向けられた。
すこしだけ、キャプテンの話したのが久しぶりな感覚がした。
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作者名：つんてん | 作成日時：2022年8月25日 23時
