信じるもの Ⅱ【トラファルガー・ロー】 (ページ38)

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六十三話ページ38

気配は消してはいたけど、少し間を挟んだ所ではキャベンディッシュとバルトロメオがいた。

少しだけ2人の会話を聞いていたけど、私のことは今はまだバレていなそうだ。

ルフィさんみたいに能力使うみたいなハメ外してギリバレてないとかになりそうで怖い。

でもなぁ、メラ達に任せるのが1番楽だし...序盤はそうしておくか。

《既に脱落者続々！白熱するCブロック、凄まじい攻防だ！
しかーし！かく言う強豪達の合戦においても、文字通り、頭ひとつ飛び出た巨大な戦士がひとり！》

エルバフ...巨人族の国か。

《一方！数々の猛者たちを恐れもせずに暴走する闘牛が一頭！非情な牛、ブルータルブル！
そしてなァぜかそれを乗りこなすのがこの男！綺羅星の如く現れ軽快な強さで瞬く間に人気者！ルーシー！！》

実況の人めっちゃルフィさんのこと好きじゃん...

キャベンディッシュのところにレベッカが見えたので彼女の向こうへ向かおうとしたその時、地面への激突音が一つ重く大きく鳴り響いた。

会場に目をやるとあのふたりがハイルディンに押し潰されてしまっていた。

それだけ確認した私はその光景を気にとめず、レベッカの元へ歩き出した。

《エルバフのルーキーの前に...コロシアムの死神と謎の剣闘士ルーシーは...》

何を言っている、実況は。

そこからは、ほんの数秒だった。

隙のあったハイルディンの左頬をルフィさんは今までの試合では見たことがないほどの速さと重さで一発喰らわせた。

私の分までやってくれた気分でとてもありがたい。

《巨人が倒れた〜！！！》

会場は一気に“ルーシー”コールで響き渡る。

そして私はレベッカの左斜め後ろで止まり、再び会場へ視線をやる。

｢驚いた...ここまで強いなんて｣

『そうですね、彼は他とは“想い”が違う』

｢なッ、君！見かけないと思えば君もDブロックか！｣

『あれ、言いませんでした？』

｢聞いてないぞ！僕は！次のブロックでの人気は僕が貰う！｣

『どうぞ、注目など浴びたくはないです』

キャベンディッシュはこう会話すれば別に嫌では無いが必要最低限の会話だけしておく。

｢想い...？｣

『うーん...ふふッ』

火拳のエース(メラメラの実)にかけるルフィさんの想いなんて

『秘密』

兄弟(彼等)しか知らなくていい。