信じるもの Ⅱ【トラファルガー・ロー】 (ページ28)

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五十三話ページ28

『何故おもちゃの皆さんはとても悲しそうで辛そうで...“ドフラミンゴを恨んでいる”のですか？』

｢...ここでは話しずらい、少し場所を変えよう｣

『わかりました』

単純に聞きたかったことだ。

この国に来ておもちゃと人間が共存しているのが日常の国。
とても楽しそうで賑やかな国に見える一方で謎の光景を見た。

おもちゃが泣いて｢僕だよ！アンナ！｣と女性に向けて話すがそのおもちゃはあえなく、女性に気味悪がられ、その場を去っていった。

その光景を見ていた周りの人々は｢またか...｣などと呆れたような口ぶりだった。

何がこの国では隠されている？

この国は何故こんなにも辛い声が聞こえる？

この想いは何故誰にも知り渡っていない？

｢この国はおもちゃと人間たちが共存している。

だがおもちゃ達は元々、“人間”だったのさ。おもちゃになった人間は自分のことは周りから一切忘れ去られてしまう。

こんなことになったのは“ドンキホーテファミリー”のせいなんだ。
僕らおもちゃにしたのはファミリーの幹部“シュガー”という少女さ。ファミリーとして公にされてはいないが、おもちゃ達みんな彼女におもちゃにされたんだ｣

『少女が...そうだったんですね』

とても悲しそうなライオンさん。きっと彼にも何か心残りがあったのだろう。

｢ドフラミンゴが王位棄却の報道はとても歓喜したが、誤報だと言われて...

ドフラミンゴも七武海だ。並大抵の海賊じゃ敵わないし、七武海と言うだけで海軍も手は出せない。
誰か僕らおもちゃの代わりにドフラミンゴを討ってくれる奴は居ないのかなァ...｣

『...それはきっと今日です』

気づいた時にはこう言っていた。

｢...？｣

『今日、きっとあなた達おもちゃは人間に、きっと戻れます。そう、信じてください』

｢何を言っているんだい、まさかドフラミンゴに...｣

『私たちは今日そのつもりでこの国に上陸しました。
きっと、必ず私の信頼している“仲間(彼ら)”がドフラミンゴ(奴)を倒してくれます』

｢...そうかい、希望を持ってもいいのかな｣

『はい、私が保証します』

｢ありがとう、じゃ僕は失礼するね｣

『こちらこそお話を聞かせて下さりありがとうございます』

絶対、彼らの為にもこの国の人たちを救うんだ。

＿＿＿いつから私はこんな人思いになったのだろうか。

昔の私(・・・)なら到底有り得ない行動だ。