二十八話 ページ3
ローside
ここにヴェルゴが居ることが想定外だった。
俺の心臓まで...あっち側の手の中だ。
Aたちは薬を調べ終わったのか？麦わら屋達は？
思考する暇もなく、身体には鈍い痛みが走る。
すると俺の後ろから足音が向かってきた。
｢...A？｣
薬を調べ終わったのか？だがたぬき屋の姿も気配もない。
しかもこんな状況、Aもまずい...！
｢あァ、どこのお嬢様かと思えばAか｣
｢...は？｣
｢何してたの？｣
『外で
そしてAは俺を通り過ぎ、モネの隣で足を止めた。
｢随分、悪魔の実に人格が呑み込まれてるな。感情が読み取れない。ジョーカーが気に入るわけだ｣
｢残念ね、ロー。クルーに助けて貰えなくて｣
｢...ッ、ヴェルゴ！｣
何が起こってる？
Aの人格はまだアイツのものだ。呑み込まれているわけがない。
この状況が理解できない俺は、今、俺から何か行動を起こすのはやめた方がいいと直感でそう思った。
一瞬だけAと目が合った。
彼女の目は無、そのものだった。
｢ロー、何度も言わせるんじゃない。呼び捨てでなく“さん”をつけろ｣
＿＿＿＿＿＿＿＿
ローside
メイン研修室にて
｢着々と準備は進んでいるようね｣
外ではシーザーによる大きな実験が始まるらしい。
今までの実験レポートは以前見た事があるが、シーザー屋らしい実験内容ばかりだった。
今回のものは大体は想像つく。いつ
｢にしても1つの檻に入るにはあまりに豪華な顔ぶれだな｣
Aは2人の会話には参加せず、ずっと本を読んでいる。
｢シーザーがガキ共を連れ去った誘拐事件はヴェルゴの手で海難事故にすり替えられていたというわけだ。
よりによって基地のトップが不正の張本人とは...G-5らしいといやァそうだが軍のメンツは丸潰れだ｣
｢なんだ？アイツひでェヤツなのか？あっ！あそこにいるのイスだろ！おい！イス！｣
｢Aのことかしら？無駄よ、あなた達に手を貸すことはない｣
本当に人格が呑み込まれてしまったのか、俺にはまだ分からなかった。
まだ俺は様子を見ることにした。
自信はないが、Aが手首に光るブレスレットをしていることが俺の小さい自信を繋いでいるのだ＿＿＿
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作者名：つんてん | 作成日時：2022年8月25日 23時
