五十七話 ページ32
大体の支度を終えたので、軽くこのコロシアムを見てまわることにした。麦わらさんがどこかに行かないよう細心の注意をはらいながら。
すると私たち2人はある銅像の前で足が止まった。
『何だか麦わらさんに似てますね』
｢結局このおっさんみたいな格好になった｣
｢その人に興味ある？｣
『...あなたは？』
私より若そうな可愛らしい女の子に声を掛けられる。兜に剣を持っているけど。
｢レベッカ、剣闘士よ。さっきはありがとう。嫌いだったの、スパルタン｣
｢別に礼なんていらねェよ｣
そして、このレベッカ、という少女にこの銅像の人について聞いた。
名前はキュロス。20年前までここで活躍をしていたらしい、コリーダコロシアムの歴史上最強の剣闘士。全勝無敗の男。伝説だ。
だが、彼の事をこの国の誰もが知らない。
本当に実在したのかも分からない不思議な銅像なのだという。
この話を聞いて少し引っかかることがあった。
このキュロスという人物も“おもちゃにされた”のではないか、という思考が頭を過ぎったのだ。
だが、証拠もないので先走りすぎたかと考え、銅像から2人へと視線を戻す。
すると、ガラの悪めな男たちがレベッカを冷やかしに来た。
当の本人は｢気にしないで｣と言っているが、辺りを見渡すと先程のような視線がレベッカに四方八方から向けられている。
...彼女に一体何があったのだろうか。
｢これで最後にするんだ。メラメラの実の能力を手に入れて。
討つんだ、ドフラミンゴを｣
｢えッミンゴを？｣
『！』
予想外の言葉で驚いた。過去に何かあったに違いないだろう。
｢あなた達ブロックは？｣
｢C｣
『...Dよ』
｢そっか、私もDなの、お互い生きてたらいいね｣
彼女はそう言い残しこの場を去っていった。
少し外が騒がしくなってきた。Aブロックが盛り上がっているのだろうか？
2人で走ってAブロックの様子を見に行く。
《Aブロック勝者は...泣く子も黙る四皇黒ひげ海賊団一番船船長、ジーザス・バージェス〜！！》
｢あいつ！｣
どうやら麦わらさんは知り合いのようだ。
コイツが居て、しかも黒ひげ海賊団、メラメラの実...
あらかたの目的は読めた。
正直、コイツの相手は面倒そうだ
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作者名：つんてん | 作成日時：2022年8月25日 23時
