信じるもの【トラファルガー・ロー】 (ページ10)

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八話ページ10

｢後ろからも軍艦が！射程距離に入る！｣

｢コッチからも来たぞ！｣

大砲が撃たれてさすがにやばいと思ったが、黒ひげが奪ったグラグラの実の力で間一髪で大砲の餌食にならなかった。

『キャプテン！黄猿が来ます！』

｢ッ...早く乗せろ！｣

｢シャボンディじゃよく逃げてくれたねェ〜！トラファルガー・ロー...ヴァイス・A〜！！｣

二人の身柄は何とか渡ったが、上方に集まるあの光がまだ私たちを安心させてくれない。

クソ...あんなの喰らったら...！！

｢もうやめましょうよ〜！！！｣

『えッ...海兵？』

1つの青年の声が海軍本部に響く。

聞いていると、戦争に意味が無いとサカズキに訴えていた。

...確かにそうだ。

火拳のエース、白ひげはこの戦争で命を落とした。この戦争の発端は火拳のエース奪還。当の本人、そして頭が死んだのだ。何も争うだけでは犠牲が増えるだけ。

そのおかげで私たちは黄猿の攻撃を受けずに済んだが...あの海兵は命知らずだ。

視線を船に戻そうとすると思わぬ人物の姿が見えた。

『...赤髪！』

｢出港！！｣

｢キャプテン！A！ヤバいよ！四皇珍しいけど早く扉閉めて！早くしないと攻撃されちゃう！｣

『待って...飛んでくる』

道化さんが投げてきたのは麦わらさんの帽子だった。なんか大切そうだったもんね。意外と優しいんだあの人。

キャプテンが帽子を受け取った後、私たちは中に入ってオペ室に急いで向かった。

｢さァ始めるか。ジンベエ(コッチ)は腹をぶち抜かれて瀕死。麦わら屋は外傷も酷いがもっと深いところがヤバそうだ｣

｢麻酔はどうします？｣

｢必要ない。2人とも痛みを感じないほどの重症だ。どんな荒療治になっても文句を言う気力もないだろうよ。楽しいオペになりそうだ｣

『...ッ』

麦わらさんの“声”を目の当たりにし、視界の焦点が合わない。

“声”が暗い闇の中で細々と聞こえる。変わってやりたい、だけどそんなこと出来る訳でもなくて。

すると、誰かに肩を掴まれた。

｢A、オペ室(ココ)で見聞色は使うな。お前の精神が崩れる。特に麦わら屋はダメだ。コイツは恐らく今までにないほどのダメージを同時に(・・・)受けてる。出来るな？｣

『はい...』

お願い。生きて麦わらさん...！